レイニーブルー

さて、その頃であった。


ところ変わって、松山市天山交差点付近にあるジャスコ(イオンスタイル)にて…


店内にあるイオン銀行で、制服姿のゆりこはデスクワークをしていた。


このところ、ゆりこは仕事が思うようにできずに苦しんでいた。


その時であった。


女性上司がものすごい血相でゆりこのデスクにやって来た。


(バーン!!)


女性上司は、平手打ちでデスクをたたいてゆりこをイカクした。


「ちょっと鳥居さん!!」

「(キョトンとした表情で言う)はい?」


ゆりこがキョトンとした表情で言うたので、女性上司は強烈な声で怒った。


「鳥居さん!!寝ぼけとる場合じゃないでしょ!!目ぇさまして人の話を聞きなさい!!」


ゆりこは、女性上司に口答えをした。


「ゆりこ…分からん…なんでゆりこが怒られなアカンのよ…ゆりこにどんな落ち度があるのよ~」


口答えされた女性上司は、強烈な叫び声でゆりこをイカクした。


「自分の乳房(むね)にてぇあててよぉに考えなさい!!」


女性上司は、ひと間隔空けてからゆりこを怒鳴りつけた。


「あんた!!きのうの昼ごはん時に悪いことしたわね!!…きのう玉輿(たまのこし)さんが注文したお弁当を食べたみたいねぇ~…きのうだけじゃないわよ…その前も、そのまた前も、うんと前も…今までになんべん悪いことしたのか…数えてみなさい!!」

「くすんくすんくすん…」


女性上司に怒鳴られたゆりこは、くすんくすんと泣き出した。


女性上司は、全身をブルブル震わせながらゆりこを怒鳴りつけた。


「あんたね!!ビービービービー泣きよる場合じゃないのよ!!」

「くすんくすんくすん…だって、お腹がすいていたもん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」


女性上司は、泣いて許し乞いをしているゆりこを容赦なく怒鳴りつけた。


「お腹がすいたから人が注文したお弁当を勝手に食べるなんてサイテーよ!!」

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…だって…お弁当買うおカネがないもん…」

「あんたのせいで玉輿さんはお弁当注文するのをやめたのよ!!わかっとんかしら!!」


女性上司は、ゆりこに『警告よ!!』と怒鳴りつけたあとかみの束をデスクにドサッと置いた。


「本店から鳥居さんにサイゴツウチョウよ!!」

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」


ゆりこはくすんくすんと泣きじゃくっていたが、女性上司は容赦なくゆりこを怒鳴りつけた。


「あんた、コキャクの預金口座から勝手におカネを引き出したみたいねぇ~…去年の9月あたりから今までに800万円を勝手に引き出したみたいねぇ~…鳥居さん!!あんたのお給料は今月支給分から当分の間ゼロでムキゲンキンシンよ!!わかっとんかしら!!」

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…だって…他にやりたいことがないもん…」

「それじゃあ、800万円耳そろえて返しなさいよ!!」

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…そんな大金ないもん…」

「ほんなら、身よりに頼めや!!」

「身よりいないもん…」

「ほんならケーサツへゆこか!?」

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

「ほんならここやめてもらうわよ!!」


女性上司にどぎつい声で言われたゆりこは、くすんくすんと泣きながら帰り支度を始めた。


女性上司は、本店に電話をしてゆりこをクビにしてよと頼んでいた。


職場放棄をしたゆりこは、松山市駅のバスターミナルから高松行きの坊ちゃんエクスプレス(高速バス)に乗って遠出した。


何時頃かよくわからないけど、ゆりこは阿南市の国道55号線沿いまで来ていた。


その時は夜の遅い時間帯だったと思う。


コキャクの口座をから800万円を勝手に引き出して、我が物にしたゆりこは、どこのどこまで逃げ回るつもりでいるのか?


日付が変わって、1月31日の深夜0時過ぎた頃であった。


ゆりこは、また凶悪事件に巻き込まれた。


(ブロロロ…キーッ!!)


ゆりこの前に突然マゼンタのトヨタエスティマが停まった。


車の中から数人のガラの悪い男たちが出てきた。


男たちは、ゆりこをはがいじめにしたあと、無理やり車に乗せた。


「イヤ!!離して!!」


(グォーン!!)


ゆりこを連れ去った男たちは、車に乗ったあと猛スピードで逃走した。


ところ変わって、甲浦岸壁(かんのうらがんぺき・高知県東洋町)にて…


ゆりこは、この付近にある漁船の格納庫に連れ込まれたあと、身体を倒されて押さえ付けられた。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!よーくん助けて~!!」


男たちは、ゆりこが着ていた濃いネイビーのボブソンのジーンズを脱がした。


「よーくん!!よーくん!!」


(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)


つづいて、ラベンダーのカーディガンが下に着ていた白のブラウスと一緒に男が持っていたサバイバルナイフで切り裂かれた。


ゆりこは、右足で男のまたくらをけとばしてふりほどいたあと、格納庫から逃げ出した。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」


貝殻の形のブラジャーショーツ姿のゆりこは、強烈な叫び声をあげながら港湾の敷地内を逃げ回っていた。


ゆりこは、途中で男たちに捕まった。


しかし、必死になって抵抗した。


「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!よーくん!!よーくん!!」


(ドボーン!!ブクブク…)


ゆりこは、数人の男たちとともに海に落ちて沈んだあとまたどこかへ流された。


今回は、助かる見込みはないと思う(ゆりこの日頃の行いが悪いけん、バチが当たったと言うことにしとこわい…ブツブツ)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る