フレンズ・その2
時は1月3日の午後2時過ぎのことであった。
場所は、松山市古川北の裕介が店長を務めるスタバにて…
店内の奥のテーブルに、ゆみさんとけんちゃんとゆりこの3人が座っている。
世話焼きの女性店員さんは、ニコニコした表情でトールドリップコーヒーとニューヨークチーズケーキの3組をていねいにならべている。
ゆみさんは、ややあきれ顔でけんちゃんとゆりこに言うた。
「ホンマにアカンふたりねぇ…あんたらの親きょうだいはどなな教育しとんかよぉ分からんけど、結婚すると言う定義が分かってへんみたいねぇ~」
世話焼きの女性店員さんが席を離れてから数秒後に、ゆみさんはけんちゃんにややあつかましい声で言うた。
「賢也さん!!」
「はい…」
「ヘラミせんとうちの話しを聞きなさい!!」
「すみません…」
「賢也さんは、ゆりこさん以外の女性と結婚するのがそんなにイヤなのかしら!!」
「結婚と言うたら…ちっちゃい時からのおさななじみの方がいいです…遠距離恋愛はしんどいけんイヤや…」
けんちゃんがひねた声でゆみさんに言うた。
ゆみさんはけんちゃんに『あんたがそのように望むのであればそのようにすればええねん!!』と言うたあと、けんちゃんとゆりこの縁結びを引き受けると言うた。
けんちゃんはゆみさんに居なおった声で『ありがとうございます』と言うた。
しかし、ゆみさんはけんちゃんに厳しい条件を突きつけた。
「ただし!!うちが出す条件をクリアすることよ!!」
ゆみさんは、けんちゃんに東亜日報(韓国の新聞)の一面のコピーと日本語訳が書かれている書面を差し出した。
ゆみさんは、ひと間隔置いてけんちゃんに言うた。
「うちが出す条件とはこういうことよ!!」
けんちゃんは、小首をかしげながらゆみさんに言うた。
「これは一体、どういうことでしょうか?」
「日本語訳の文章をよまんかい!!」
ゆみさんに怒鳴られたけんちゃんは、日本語訳の文章を読んだ。
文章をひととおり読んだけんちゃんは、ゆみさんに言うた。
「マリンホールディングス(ビール会社)が保有している韓国のワインメーカー『デリシャン』株49パーセント分を大株主のおじいさまが買うと言うニュースですね。」
「そうよ!!」
「つまり、ぼくに『デリシャン』株49パーセント分をマリンホールディングスからぶんどってこいと言うことですね。」
「そうよ!!」
「(なさけない声で)無理ですよぅ~」
「コラー!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…」
「あのね!!こっちは時間がないのよ!!2008年の大つごもりまでにマリンホールディングスからデリシャン株49パーセント分を是が非でも奪い取りたいのよ!!わかっとんかしら!!」
「2008年の大つごもりまでは十分時間がありますよぅ~」
「コラー!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…」
「2008年の大つごもりが期限と言うことがゼンゼン分かってへんみたいねぇ!!期限過ぎたら不利になってしまうのよ!!わかっとんかしら!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…」
けんちゃんは、ゆみさんから突きつけられた条件をクリアするために仕方なく頼みを引き受けることにした。
その翌日…
東京にあるマリンホールディングスの本社にて…
けんちゃんは、デリシャン株49パーセント分を獲得するために石頭のCEOに直訴したけど、SPたちにボコボコにいて回されてばかりいた。
しかし、ゆりこと結婚したい気持ちがある以上リタイアすることは許されない…
苦難の道はつづく…
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