第7話 20200802 紫陽花(あじさい)


小遣こづかいが入ると 僕は少しだけ背伸びをして

喫茶店のドアを開ける


いつものカウンターには 紫陽花あじさいの君


傘のしずくを振り落としながら

言っていたよね


雨は好きじゃないけど

雨に濡れた紫陽花あじさいは好きなの って。




貴方あなたがよく見えるすみのテーブルが僕の定位置


コーヒーをブラックで注文して

内容なんか頭に入ってこなさそうな

小難しい本のページを そっとめくる


僕が思いを もし伝えたら

やんわりと貴方あなたは笑うんだろうな


学生の貴方あなたは好きじゃないけど

大人になった貴方あなたはきっと素敵ね って。



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