第41話


神様


「おぉ~そうじゃな、予想より進んでる症状は2人の桜じゃ… いわば同一人物、表と裏それが1つの舞台で両方表になろうとしたからバランスが崩れて歪んでいる…」



亮介


「どうなっちゃうの…」



神様


「桜の場合、内面が激しく反発して全く別の人格になっておる」



幸之助


「見た目が一緒の別人…」



ユミカ


「二重人格って言われる訳か…」



神様


「問題は反発した人格が、1人は生に執着し1人は死に執着する事で破滅に向かってる事じゃ!」



亮介


「破滅…?」



神様


「お前達が恐れる悪魔はワシの意識が分離した物…


 しかも厄介な事に、ワシの人類を否定していた部分が独立して意識をもち漂っている…まさに反人類、お前達にとっては紛れもなく悪魔…」



亮介


「人類を否定する…悪魔…」



幸之助


「神様が分離したって事は、神様の能力と同じ…?」



神様


「そうじゃ…桜を呼んだり、異次元を作ったりしてるからな…


 それに悪魔が自分で作った異次元に居る時はワシでもヤツの居場所は分からん… そんな状態で桜の様に次々と影響力のある人間が壊されてしまえば光と影の関係が崩れ世界が崩壊する…」



敵である悪魔の力が神様と同等と知り愕然とする幸之助。



幸之助


「そんな力のある悪魔と戦うのに僕達で何か力になれるのですか…」



神様


「悪魔を封じるのはワシじゃが…お前達の協力が必要じゃ…」



みんなが、神様の言葉を待っている。 しかし、その先を語らない神様… しびれを切らした亮介が問い掛ける。



亮介


「僕に出来る事があるなら…どんな事でもします!」



幸之助


「言って下さい! 僕も命がけで望みます…」



神様


「わりと、簡単じゃ」



亮介


「なっ…なんじゃそりゃ…!」



幸之助


「その方法を…詳しく話して下さい」






神様と亮介達の作戦会議が熱を帯びる頃…


 深夜の外苑は人が居なく不気味な雰囲気をかもし出す。



 桜が館石社長との待ち合わせに指定場所だ…館石は外苑の中程で車を止めると言われた通りに桜に電話をする。



館石社長


「もしもし… 外苑に着きましたけど…… わかりました」



館石は、桜にそこで待つように言われた事を、離れて着いて来ている探偵にメールした。



しばらくすると、何処からともなく桜が現れ館石の車をノックした。当然、桜は車で来ると思っていた館石は突然のノック音に派手に驚いてしまい恥ずかしそうにしながら助手席のドアを開ける。桜は何のリアクションもなく助手席に座るとお友達も呼んでと館石に頼んだ。



館石は一瞬とぼけ様としたが、探偵の尾行に気付くほどなら桜にそんなのは通じないと考え直し素直に探偵を呼んだ。



5分ほどの気まずい沈黙が続くと探偵がやって来て横柄に後部座席に座った。



探偵


「よくわかったな… あんたは、何人で来たんだ?」



長年の探偵業で磨いた尾行がバレた事で桜が用意周到に人を配置してると考えた探偵…そして、そこまでするのは“桜が2人”と言う秘密が予想以上の金になると踏んだ。





「1人よ…あっ、正確には2人か…」



探偵


「…それが本当なら、相当腕のたつ友達だな」




「腕のたつ? そうね…相当よ、神様だから」



館石


「はぁ? 冗談は嫌いかと思ってたけど、そうでもないようですね」



桜の神様発言に館石は呆れ顔だが、尾行がバレたうえにおちょくられたと思う探偵の顔が険しくなる。



探偵


「下らねえ冗談に、付き合う気はねぇんだよ!」




「私の言葉の意味を理解させてあげる…」



そう言うと桜は、神様に電話をかけた。



亮介達が神様にかけた時のようにスマホから空間が裂けて3人は暗闇に包まれる。



まさかの展開に館石と探偵が取り乱して叫び出す。




てめえー!! 何をしたぁ~! 


  


  明かりだっ! 



 明かりをつけろ~!!




神様の存在を理解していた美麗達でも恐怖する暗闇… 何も知らない館石と探偵はなす術もなく、子供のように怯える…





「落ち着きなさい…暗闇でも見えるでしょ…」



探偵


「ふざけるなっ!! 真っ暗で何も見えねぇじゃねぇかぁ!」



桜に向かい叫ぶ探偵だが暗闇の中、桜と館石がハッキリと見える事に気付き戸惑いだす。



館石


「おい! 何で暗闇で見えるんだっ!」



探偵


「馬鹿なぁ… 景色は何も見えないのに…」




「これが神様の力… 人間なんか遠く及ばない…」



館石


「てめぇ… こんなオカルトじみた仕掛けで俺達が怖じ気ずくと思ってるのか?」



探偵


「馬鹿が、かえって高く付くぞ…」



状況の理解はしていないが、何らかの装置で自分達を桜が脅そうとしてると思い徐々に落ち着きを取り戻す2人…



その姿に感心する桜…




「へぇ~~ 大したものねぇ…この状況に早くも対応してきてる…」



館石


「……」



警戒する館石だが、探偵が吠える。



探偵


「何をしようが、お前は俺達に金を払うさ…もう1人の桜は今何処だ…」




「………」



館石


「まぁ、いいだろう… 金の話をしようか?」




怯まず、押してくる2人に笑いだす桜…



   は~はっはっはぁ!



探偵


「何がおかしい!」



声をあらげる探偵…




「この状況で更に脅してくるなんて、相当な修羅場を潜ってるのね…そんな経験をしながら人を脅して金を取る事しか考えない… ほんと、これだから人間なんて下らない…」 



探偵


「わけわかんねぇ事ばっか言ってんじゃねぇー!」




「……そうね、下らない会話はいらない…もう終わりよ」



探偵と館石の視界が一瞬揺れると桜が消えた…


 瞬間で元の館石の車に戻った桜は何食わぬ顔で車を出ると少し歩き流しのタクシーを止めて乗り込んだ。








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