第25話 たった一週間で90万稼げます!
Dランクダンジョン、【夕凪ダンジョン】の第19階層。
俺が今いるゴブリンの巣には、50体を超えるゴブリンの死体が転がっていた。
「はあっ!」
ザシュッ!
振るった短剣が、ゴブリンの体を真っ二つに両断する。
これで、全てのゴブリンを討伐することができた。
「想像以上に簡単だったな」
二週間前までは、同時に相手をするのは15体と決めていた。
その数が、俺の実力で優位を保ったまま討伐できる限界だったからだ。
しかし今、俺は50体を超えるゴブリンを苦も無く圧倒した。
レベルが上がったことの効果を、改めて実感する。
「っと、魔石を取り出さなくちゃな」
短剣を使い、短時間でゴブリンの体から魔石を抜き取っていく。
以前までは素材袋の中に魔石を入れていたため大量には持てなかったが、今の俺にはアイテムボックスというスキルがある。
LV1でもこのくらいの量ならば全然許容量。
53個の魔石をアイテムボックスの中に回収する。
「ゴブリンの死体を回収する必要はないよな。売っても大した額にはならないし」
魔物の種類によっては武器や防具の素材になるため高価で買い取ってもらえるのだが、ゴブリンはほとんど値が付かない。
そのため、ここに放置しておくことにする。
ダンジョンでは、魔物の死体はしばらく経つと消えるため、放っておいて問題はない。
一説によると、ダンジョンが魔物の死体から魔力を吸収し、再び魔物を生み出すのに利用されているのではないかと言われているが、真偽は不明である。
「さて、次だ次」
俺は場所を移し、さらなる狩りを続けるのだった。
一日を費やした挑戦を終え、俺は地上に帰還する。
どうやらスパン中でも、ダンジョンから出る時にはゲートを通れるようだ。
ほっと胸を撫で下ろす。
あくまでスパンはダンジョンへの入場を制限するための仕組みらしい。
そうじゃなかったら、今頃はダンジョンボスを倒す羽目になって、またスパンが一日伸びていたところだ。
今日入手した迷宮資源を売却したところ、合計で8万円だった。
結構な数の魔物を倒したはずだが、なかなか質のいい魔石を入手することができなかったからだ。
それでも、以前に比べれば随分と稼げているが。
ちなみに、レベルについては1も上がらなかった。
レベル679の人間が、攻略推奨レベル2桁の場所にいるのだから、まあそれは仕方ないだろう。
なんにせよ、久々にまともなかたちで体を動かした気がする。
敵が遥か格下だったため完全ではないが、それでもある程度は戦闘の勘を取り戻したはずだ。
無心で周回していた紫音ダンジョンよりは、遥かにマシだった。
「よし、明日からもまた頑張るか」
その後、俺は一週間夕凪ダンジョンに潜り続けた。
日を重ねるごとに効率的な動き方というものが身についてきて、徐々に稼げる金額も増えていった。
最終的な成果としては、7日間で90万を稼ぎ、3レベルアップした。
100万に届かなかったのが残念でならない。
明日こそは、待ちに待ったCランクダンジョンの挑戦日。
大きな期待と小さな不安を胸に、俺は眠りにつくのだった。
この時の俺は知る由もなかった。
明日、剣崎ダンジョンにて、因縁の相手と再会することを。
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