第17話 ダンジョン踏破者
『規定回数』という単語に、『今後、貴方が本ダンジョンを攻略しても報酬は与えられません』という文言。
言葉通りに受け取るなら、ダンジョンには一人の人間が攻略できる回数が定められており、俺はそこに到達したという意味だろう。
そして、それを超えて攻略したとしても報酬はもらえないというわけだ。
いったん、これまでに俺が何度夢見ダンジョンを攻略したのか思い返してみた。
ダンジョン内転移がLV10になる前は一回、それ以降はえっと……49回。合計50回。
つまり、夢見ダンジョンの規定回数は50回というわけか。
「確かに一週間のスパンがある中、同じダンジョンを50回も攻略する奴なんていないよな。多くても10回やそこらで、レベルが上がったら次に行くはずだ。だから、これまで誰もこの仕組みに気付くことがなかったのか?」
となると、俺が世界で初めてこの仕組みを知ったことになるが……
他の冒険者には、このことは伝えないほうがいいだろうな。
その情報を入手した経緯を訊かれたら、ダンジョン内転移について説明せざるを得なくなる。
それに、例えこの情報が広まったとしても、他の冒険者が活用することは難しいだろう。
普通の冒険者ならば、ダンジョンを50回クリアするのに一年近くかかる。
それで与えられるボーナス報酬が20レベルアップでは割に合わないはずだ。
「いや、待て。何もボーナス報酬がレベルアップだけって決まったわけじゃないよな? 他のダンジョンなら、武器とか道具とか、もっと別の報酬があったりするのか?」
試してみる価値はある。
もしかしたらその中には、他の冒険者では手に入れられないようなものがあるかもしれない。
それらを入手できれば、俺はさらに強くなれるはずだ。
「まあ、予想というか願望に近いけどな」
なんにせよ、焦って今考えるべきことではない。
今は素直にボーナス報酬として20レベルアップが与えられたことを喜ぼう。
夢見ダンジョンを攻略できなくなっただけは残念だが……
「いや、攻略報酬がもらえなくなっただけで、攻略自体はできるのか……? 攻略報酬じゃなくて、ダンジョン内で取れる素材が欲しくなることはあるかもしれないしな。一応、試しておくか」
確認の意味を込めて、俺は最後にもう一度だけ夢見ダンジョンに挑戦する。
結果、無事にダンジョンの中に入ることができた。
続けてボスのハーピーとも戦うことはできたが、やはり攻略報酬が与えられることはなかった。
「ふむ、やっぱり報酬はもらえないのか。夢見ダンジョンは迷宮資源に魅力がないから、もうくることはないかもな」
それでも、俺をここまで成長させてくれた夢見ダンジョンには恩がある。
深い感謝の気持ちを抱きながら、俺はこの場を去るのだった。
……まあ、冷静に考えてみたら、魔物を殺しまくり資源を奪いまくった相手に感謝するとかもはやサイコパスの所業なんだけどね。
気にしないでおこうっと。
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天音 凛 19歳 男 レベル:474
称号:ダンジョン踏破者(1/10)
SP:1310
HP:3800/3800 MP:620/940
攻撃力:920
耐久力:700
速 度:900
知 性:840
精神力:580
幸 運:800
スキル:ダンジョン内転移LV11・身体強化LV10・高速移動LV3・初級魔法LV3・魔力回復LV1・魔力上昇LV1・鑑定LV1・アイテムボックスLV1
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ダンジョン踏破者(1/10)
・ダンジョンを踏破した者に与えられる称号。
・特定数のダンジョンを踏破することによって、様々な恩恵が与えられる。
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