第3話 空間転移
「さて立ち話もなんなので移動しましょう」
エリスシア皇女の先導の元先程の場所を出ると直ぐ側にある階段を降り行く。
廊下の至る所に様々な壁画がありその中で多くあるのが青く透き通った輝きを放つ武器を持つ存在と禍々しいナニカを発する様々な生命体という感じだ。
…ひょっとして過去の【勇者】と【魔帝】の戦いでも記しているのだろうか?
しばらく階段を降りると大きな両開きの扉の前に出た。
「〜〜〜・〜〜」
彼女が何処かで見たことある紋様の上にそっと右手を置くとナニカを呟く。するとその紋様は7色に輝くと独りでに扉が開かれていく。そしてその空間は異様だった。縦横無尽になんらかの線が通っており窓一つない。ただその上で何故か神聖さを感じてしまう。
「…嘘」
「これは…」
紅葉に先生がそれを見て2人とも驚愕の表情を浮かべる。ただそれはほんの刹那のことでありエリスシア皇女が振り向く前には元の緊張したものに戻っている。
「此処には転移方陣が組み込まれています。まあそんなに使用しないのでこんなに綺麗なのですが」
「使用しない?こんな場所を?」
作家魂に火が付いたのか湊がエリスシア皇女にグンッと詰め寄る。
まあこんな綺麗な大教会なんか使わない方がおかしいしな。
「転移方陣にもかなりの魔力が必要ですしこれと同レベルの教会が【神都】と呼ばれる場所にありますから」
【神都】って設定上は宗教国家が多いからあまり関わりたくないのだが…。いや待て。何故、召喚されたのが宗教国家でないんだ?彼女の態度からするにそこまで敬遠な信者という訳でもないだろうに。そんな事を考えながらも部屋の奥へと進む。そして中央を通過した頃に猛烈に違和感…何者かの姿なき視線を感じる。その視線は俺だけでなく湊・紅葉・勇・先生にエリスシア皇女にも深く眼を向けよく視てくる。がその事には気付いていないのかそれとも敢えて無視しているのか分からないがその刺すような視線の出所を感覚のみで探る。ただ向こうもそれを感知したのかすぅと消えゆく。
「今のは…」
「…如何かしたのエリス?」
エリスシア皇女もソレに気付いたみたいで疑問を口に出す。それを直ぐ側にいた湊が拾った。
「いえ何も。ってエリスって私ですか?」
「うん。それともシアが良い?」
確かにエリスシアの愛称ならエリスかシアだな。まあ愛称って基本的に名前の前の方を取るからな。
ただー。
「やり過ぎだ、湊」
少し暴走気味な湊に近づき容赦無くその脳天に手刀を降す。
「痛っ。何するの?」
「それはコッチの台詞だ。すまんなエリスシア皇女様。この阿保…柳瀬湊は小説家でな。少し暴走しがちな面があるんだ。許してくれ」
「そう言う新一の礼儀がなってないと思うけど」
否定はしない。敬語は使えなくはないが切り替えるのが正直面倒なのだ。
「いえ気にしませんよ。それに立場故にそう言う風に接してくれる友人が欲しかったんですよ」
クスッと笑みを浮かべながらそう恩赦を出す。確かに皇女なんて立場じゃあ同年代の友人なんて少ないだろうしな。
「…オススメはせんぞ。湊と付き合うのにはかなり根気が必要になる」
「こんなぶっきらぼうなのにお堅い新一が言うと説得力あるね」
「ふふっ。お2人は仲が良いんですか?」
「ただの腐れ縁だ。…気付いたのか?」
最後の方を湊に悟られないようにそっとこちらの言葉で伝える。
「!えぇ。でも気のせいかと思ったのですが」
こちらの真意を読んだのか微かに驚いたのもも小さく動かした唇の動きから読む。
「これは色々と前途多難ですね。っと皆さん入られたようなので起動します」
そう言うと何もない空間から銀の長杖を取り出す。装飾は何もないシンプルな杖だがその先端には先程の神魔晶石が埋め込んである。
「《
その言葉に呼応し夢幻の光を放つとふわりとした感覚とともに神殿を後にした。
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