私立!!腐理高等学校ゾビ!!!
@dekai3
とうこう
ガタンゴトーン ガタンゴトーン ツギハー クサリコウコウマエー クサリコウコウマー
ツンと鼻を付く臭いが充満し、隣の人の腕が当たると ヌルッ とする朝の通学電車。
特に気温が高いこの時期は車内に虫が大量発生する事もあり、身動きできない状態で目の前をぷんぷんされるとかなり精神的にキツイ。
これが自転車で通学できる距離なら良かったんだけど、何の因果か私の学力ではこの高校にしか通えない事が判明してしまっており、仕方なく『私はこいつらとは違うのだ』という自尊心だけをしっかりと心に持って毎日を過ごしている。
でも、私はまともな頭をしているはずなのにどうしてこんな高校にしか通えないのだろう。授業はちゃんと聞いてノートを取っていたし、テストでもちゃんと全部解答を埋めていたはずなのに。
プシュー ムワワワ
この学校に通う事になってから何度も思い返したが、それによって特に今の環境が変わるわけではないという現実を噛み締め、ようやく開いてくれた電車のドアを潜ってホームに出る。
鼻の下にタイガーバームを縫っても駄目だ。あの臭いは耐えられる物じゃない。
それに、私の制服にまでも臭いがこびり付いてしまっている。この高校で生活していく上では我慢しなければいけない事だと分かっていても、それでもやっぱりこんなのは嫌だ。
まだ高校一年生の夏なのだし、今からでも転校の手続きを取れないだろうか。
「あ、おはよ~ゾビ」
何度親に言っても却下された転校の事を考えていたら、隣の車両に居たらしいクラスメイトのクサ美が話しかけてきた。
「ええ、おはよう……ゾビ」
それに対して、私も挨拶を返す。
「今日もヒト美ちゃんは綺麗ゾビね。まるで生身の人間みたいゾビ」
「ふふっ、何を言ってるのよクサ美。こんなゾンビ専門学校に人間が通う訳ないでしょ? ……ゾビ」
私は ギリリ と奥歯を噛み締め、内心でめちゃくちゃに『そんな訳ないだろ!!!』と突っ込みを入れながら、笑顔でゾンビの振りをする。
そう。ここは私立
脳が腐って人間未満の知能しかないゾンビ高校生が通っている、ゾンビの為の学校だ。
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