第11話 いざ冒険へ
シャノンは屋根裏で寝る支度を済ませ、布団に寝転んでいた。そこへ、どっと疲れた表情を浮かべたファリレが上がってきた。入るなり布団に倒れ込み、大きなため息を吐いた。
「何なのよ、あのチビどもは……」
「良かったじゃん。いつの間にか俺より好かれてるし」
「全然嬉しくないわよ! 次から次へと湧いてきて……何で私が下等種族の面倒なんか見なきゃいけないのよ!」
数日前にはファリレのことを恐れていた子供たちだったが、サリーたちが話しかけたりしているところを見て、恐怖心が好奇心に変わったようだった。今ではファリレに街の外についての話や遊び相手をせがんだりと、彼女の取り合いさえ起こっていた。一度大丈夫だと認めた後の子供の熱は凄まじい。
「あのさ、ファリレ」
その声にファリレは顔だけを向ける。半開きの眼で次の言葉を待っているようだった。それを返事と受け取って、シャノンは続ける。
「帰りにレイドルさんが言ってた魔力を帯びた剣だけどさ。俺、明日取りに行こうと思うんだ」
「そう。精々頑張りなさい」
「いや、もちろんファリレも来るんだよ?」
さすがに逃げられないと思ったのか、ファリレはうんざりした様子で嘆息し、瞼を開いた。
「魔力を帯びた剣、ね。まあ、ちょうどいいわ。私と手を繋いだ状態でしか戦えないんじゃ、これから先どう頑張っても強くなれるわけないもの」
「ありがとう、ファリレ」
「べ、別にお前のために行くんじゃないわよ!? 私のために決まっているじゃない」
「はいはい、分かってる分かってる」
「待ちなさい! お前、絶対に分かってないわ。ちょっと、布団被って寝たふりするんじゃないわよ!」
耳元で聞こえるファリレの声はすぐに遠ざかり、シャノンは数秒で寝息を立てたのだった。
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