第4話 オパイ the セーラーウーマン ①〜サンダノレでダッシュ〜


※この作品は「サンダルでダッシュ オッパイtheセーラーウーマン」

 と同じ物です。






「お姉さん、おっぱい貸してくれない?」


 学校に行きたくないあたし、折井衣舞おりい いぶ(16歳)がそんな頭の悪い言葉を掛けられたのは、朝のラッシュもひとしきり終わった頃だった。


 空は快晴、でも学校行きたくない。さて、どうやって授業をサボってやろう? そんな事を考えながらコンビニでアイスコーヒーを買い、余分に貰ってしまったコーヒーフレッシュをもて遊びながら人気のない公園でぼーっとしていると、いきなり後ろから声を掛けられたのだ。



「お姉さん、おっぱい貸してくれない?」


 はあ? もしかしてあたしカツアゲされてる? ってか、おっぱいって言った? お金じゃなくて?


 いやそんな、タバコの火貸してくれみたいに言われてもなぁ。おっぱいは簡単に取れないしさ?とか思いながら、後ろを振り向くと、そこに変態がいた。


 いや、変態と言うといささか語弊があるかもしれない。何故なら普通の変態には頭に角なんか生えてないからだしかも2本あります


 頭に角が生えてたらそれは、時期外れのハロウィーン仮装か、もしくは悪魔超人だろう。バッファ○ーマンね


 その変態は真っ黒いマントに身を包み、悠然と立っていた。ボサっとしたワイルドな黒髪の中にある顔はそれなりに整っていて、アタシを上から見下ろしている。身長は2㍍前後ってところか。胸の辺りが大きく膨らんでいる。

 うーん、どう見ても女体化したバッ○ァローマンにしか見えない。

 そう、彼女は女だった。



「おっぱい……ですか?」


「うん、あるよね?おっぱい」

 そう、無邪気とも思える顔で聞いてくる変態。


「いや、ありますけどね、二つほど。でも、見ず知らずの人に揉まれるのはちょっと無理ですね」

 あたしはキッパリ拒絶する。


「えぇっ、いいじゃん?減るモンじゃなし。先っちよだけで何のだよ?もいいから」


「いやですよ。なんでそんなにおっぱい揉みたいんです?」


「アタシら改造人間はおっぱいパワー吸って強くなるんだよね」


 あ、なんかすんごいバカっぽいキーワードが出たんだけど。ナニ? 改造人間って? 昭和? しかも『アタシら』ときたか。少なくもあと1人、こんな馬鹿がいるって事だよね。大丈夫か、日本?


「そんなに揉みたければ自分の揉んだらどうです?立派なの、ついてるじゃないですか」

 変態さんのおっばいはマント越しに見てもデカかった。


「自家発電したらむ自家発電って言うなよしろパワー落ちるんだよ。だいたい、アタシのおっぱいはアタシの物だけど、お前のおっぱいもアタシの物なんだよ。嫌って言っても揉ませて貰うぞ?」


「ジャイ○ンみたいに言わないで下さい。あっ、ちょっと、ダメだったらっ、ああん」


 いきなり図体に似合わぬスピードで背後に回られ、がっしり胸を鷲掴みにされた。そのまま超高速でモミモミされる。


ちょっ、ダメぇモミモミモミモミアァっ、そんなもみもみもみもみしくしないでぇモミモミモミ〜」


 揉まれる度に体から力が抜けていく。いや、感じてるとかじゃなくてホントにエネルギーが吸われてる感じ。こころなしか、おっぱいも小さくなっていってるような……


 うぉい、ちょっと待て⁉ このまま吸われたら、あたしのおっぱい無くなっちゃうんじゃないの⁉


「うぼほほっコレモミモミモミモミはなかなかいいおっぱいもみもみもみもみじゃないか。ほっほ〜たまらんっモミモミモミモミ



 その時だった。


「止めろっ、このへんたいっ!」


 突如、セーラー服の女の子が現れ、真横から変態にライダーキックをかましたのだ。


「ふがっ、なんだぁ?」

 蹴られた変態は、ほぼダメージはないようだったが、あたしのおっばいから手は離れた。


「大丈夫か?お姉さん?」

 セーラー服の少女がそう、あたしに声を掛けてきた。

 

 中学生くらいだろうか?サラッサラのショートヘアに切れ長の目が印象的な少女だった。あたしより背は低く、全体的に細身な身体つきで、胸はまだ発達途上というところか。


「なんだキサマぁ! おっぱいの無いヤツは引っ込んでろ!」


 変態が少女の胸ぐらを掴み、そのまま片手で投げ飛ばす。

 ビックリするぐらい飛んでいった少女は地面につく前にくるっと身体をひねって、まるで猫のように綺麗に着地した。


「この変態、なんちゅうパワーだよ?」

 少女が驚いたように呟く。


「ふわっはっは、いいおっぱいパワーをいっぱい頂戴したから何気に韻を踏んでますな。今のアタシはサイヤ人のナッパくらい強いぞ!」


 いや微妙だな、比較対象。もっとメジャーなトコ、チョイスしろよ?


 でも確かにあの変態は強い。どちらかというと華奢なセーラー服少女が敵うとは、到底思えなかった。


「そうかい、ならコッチも奥の手を出すか」

 そう言って少女はスカートのポケットから何やら四角い物体を取り出した。


 パック牛乳?


 そう、それは確かにパック牛乳だった。

 少女は箱の側面に付いてるストローは使わず、おもむろにストロー穴に人差し指を突っ込んだ。結構硬いパックなのに指が第一関節くらいまで入ってる。

 引き抜いた指についた白い液体をチロっとなめた後、左手を腰に当て、仰け反るようにして直に牛乳を飲み始める。


 見間違いだろうか?

 ゴクッぼいんっ、ゴクッぼいんっ、と喉がなる度、少女の胸が膨らんでいく。


「ぶはぁっ」

 と飲みきった時には、ほぼ絶壁だった少女のおっぱいはCカップくらいになっていた。


「な、なんだーそのおっぱいはぁっ⁉」

 変態が目を剝きながら噛み付く。


「吸収率がいいんだよ夜でも安心


 いや、そういう問題⁉ ってかこの子も普通じゃないな。ホントに大丈夫か、日本?


「ええぃ、どーせそのおっぱいもアタシのモノだ。揉み倒してくれよう!」

 変態が手を広げてセーラー少女に襲い掛かる。


「揉めるもんなら揉んでみなっ」


 角付きの2㍍の大女と、華奢な少女ががっつり手4つに組む。

 プロレスでお互いの両手を組み、力比べをするアレだ。 


 グググと上から全体重を掛けるようにする変態の顔は、歯を食いしばりすごい形相になっているが、対する少女の方はまるでダンスを踊っているかのように涼しい顔をしていた。信じられない事だが、明らかに変態大女の方が押されている。


 すっごい、この子。横顔も美少年風でエロカッコイイし。あたしは思わず見とれてしまう。


 少女はやがて力比べに飽きたのか、変態の両手を掴んだまま、ジャイアントスイングのようにブンブン振り回し始めた。


「うおぉい止めろっ目が回るぅー‼」


 それは何というか、とてもシュールな光景だった。スリムで小柄な少女が2㍍の角付き変態女をぐるぐる回している。


「はっ、離してくれぇっー!」

 大女の悲痛な叫びが響きわたる。


「離して欲しいの?じゃあ、はい」

 そう言って少女が手を離すと、変態女はマンガみたいにすっ飛んでいく。


「ば、ばかっ、いきなり離……」  すなーっ……


 変態は無茶苦茶飛んで植込みに顔から突っ込んだ。


「やったぁ、キミすごいのね?」

 あたしがセーラー少女に近寄ると、彼女はふっと笑顔を見せ、前のめりに倒れながらあたしのおっぱいにしがみついた。


「えっえっ、アンタもこれが目的なの?」     いや、キミなら別にいいけど


「……目が回った……」


 そっちかいっ! 調子のって回し過ぎるからだろっ。焦ったわ!



「あれ? キミ、心なしかおっぱい萎んでない?」

  Cはあったであろうおっぱいがまた、最初に見た絶壁に戻ってる。


「あ、ホントだ。やっぱ都会のパック牛乳は駄目だなぁ。薄い上に量が少ない」

 そう彼女が呟く。

 

「キミ、本当に牛乳でおっばい大きくなって超人的な力だせたり、その後萎んじゃったりするの?」


「そうだよ」

 そう言ってニコッと笑う少女。うぉっ、ズキュンどきたぁ。ヤバイ、かわいい。



 その時、すっ飛んでいった変態女が顔を真っ赤に染めながら戻ってきた。

 

「うっわ、また来たよ、あの変態。ねえ、キミ大丈夫?」

 おっぱいが小さくなった少女は無念そうに頭を振った。


「うーん、この状態じゃ、勝てない」


「ねぇ、あたしのおっぱい揉む?それで力出ない?」

 少女が何言ってんだコイツみたいな顔してこっちを見てくる。


「いや、ボクあんな変態じゃないから。おっぱい揉んで力なんか出ないよ。それより、お姉さん母乳出ない?」


「出るかいっ!! 高校の制服着てて母乳出たら怖いわっ!!」



 そんな間にも変態は近づいてくる。どうしよう、せめてなに

か武器になるような物ないかな?そう思い、ポケットを探る。

 ん、何だコレ?


 ポケットから取り出したソレを見て閃いた。

 少女にそれを見せると「行けるかもしれない」そう返事が帰ってきた。

 

「お姉さん、ボクがアイツに組み付いた三秒後にアイツに馬乗りになって……」

 少女が素早く手順をあたしに伝えてきた。


「うん、わかった」あたしは頷く。


「じゃあ行くよっ」

 その言葉と共に少女が変態へと走っていく。


「きっさまーっ絶対許さんっ! ふんっ、どうやら馬鹿力も切れたみたいだな?」

 変態女はそう言って余裕を見せた。確かに走っていくセーラー少女に先程の凄みはなく、どこか弱々しく見える。


「それはどうかな?」

 そう言いつつ少女が取り出した物、それはあたしがさっき渡したコーヒーフレッシュだ。

 走りながらペロンとフタをめくり、そのまま飲み干す少女。

 途端に走るスピードが倍くらいになった。コーヒーフレッシュはミルクじゃないけどミルクっぽいしね。プラシーボ効果ってやつ?ってか、コーヒーフレッシュって名称は関西圏だけらしいけど、他の地方だと何て言うんだろ?

 

 変態の顔付が歪む。


 少女は変態の足に組み付いた。あたしはカウントを始める。


 イチ


 少女が変態の足を取り、変態を地面に倒す。


 二


 少女が変態の足の間に自分の足を入れ、複雑に絡ませたまま自分も倒れ込む。アキレス腱固めだ。



 少女が叫ぶ。



 『サンだノレ乗れ』でダッシュ! した。




 アキレス腱固めを決められて動けない変態に、あたしは馬乗りになった。 

 これが、コーヒーフレッシュではごく短時間しか力が出せない彼女の苦肉の策だ。変態のマントをペロンと捲くる。ボイ~ンとでかいおっぱいが出てきた。そのおっぱいをガシッと掴み、高速でもみもみする。


「なっなにをっモミモミモミあっ、やめっ、だめもみもみもみっ、そんなっああっ!モミモミモミ!」


 変態が泣こうが喚こうが、悶えようが、あたしは容赦なく揉みまくった。


「ああっ、もみもみもみほんとにっ、モミモミモミやめっ、ああーっ」もみもみもみ

 

 うーん、何かだんだん楽しくなってきたな、ほれほれ、ええか?ええのんかあ?



「あのー、お姉さん、もう止めてあげた方が……」

 セーラー少女に肩をポンポン叩かれ、あたしは我に返った。


「しくしくしく……」

 ふと下を見ると、2㍍の大女が半分程になってた。おっぱいもつるんつるんだ。


「えっ? ええッ⁉」

 

 なんと、変態大女は幼女になってしまっていた。頭の両横にちょこんと小さな角が付いている。


「アンタ、これが本当の姿だったの?」

  あたしがそう問い掛けると、幼女は泣きながら立ち上がり、あたしをニラ見据えた。


「お前ら、絶対に許さないっ、今度あったら覚悟しとけ!」

 そう言い放って背を向けた。

 トボトボと歩き出す幼女。


 あたしとセーラー少女か呆然としてる中、幼女が振り向いて叫ぶ。


「アタシの名は、『青井+あおいプラス』だっ! お前らは?」


「あ、あたしは折井衣舞おりい いぶ


「ボクは名乗る程のもんじゃないから、じゃあね」


「「あっ、こら待て!」」

 

 あたしと青井+の叫びがハモる中、セーラー少女は颯爽と行ってしまった。



 

 この後、彼女はあたしの高校に入学してきて、あたしの後輩になり、しつこく絡んでくる青井+実は小1でしたとドタバタを演じる事になるんだけど、それはまた別の話だ。








「オッパイtheセーラーウーマン」①

 〜サンダノレでダッシュ〜


  続く




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