蒼鷹記

敦煌

設定集

其の一 登場人物

※()内は第一章時点での年齢。


結城ゆうき阿羅々木あららぎ】(24)

都から五百里ほど北にある、蔡州さいしゅう宋魯そうろの人。

華都かとの遊女だが、書に長け歴史や文学に通ずる。女らしからぬさっぱりとした性格で付き合いも悪く、またがんらい驕傲な性分で、博識なのをを鼻にかけて内心周囲を見下している故、客からの人気はないに等しい。しかし己は遊郭の中で終わる器ではないと豪語し毎日読書に耽っている。


せん】(44)

あざなは仲然ちゅうぜん。西方の範州はんしゅう柏里はくりの人。

官僚選用試験に合格したのち民部省の内記となるが、その才覚を認められて瞬く間に出世し、長年左大臣の位についている。陰陽や詩歌など教養には疎いが、史書や法典に関しての見識は明らかに、算術にも長ける。贅沢と女色を好み、傲慢で周囲を顧みず、己の利益のためなら如何なる手段も問わない非道な人。


ちょうさい】(60)

あざなは文晏ぶんあん。北方の于州うしゅう庶楊しょようの人。

もと、郡令に仕える貧しい下級役人の子で、幼い頃から学問を好み、二十歳の元服とともに華都に上ってきた。ほとんど他人に興味を示さず、干渉したがらないからりとした性格だが、趣味の合う者とは親交がある。今上皇帝に認められ長年宰相を務めている。


とうれい】(43)

あざなは伯寧はくねい。都のある洛華にほど近い、洛州らくしゅう計陽けいようの人。

若き日に、天子や王朝のため身を捧げると誓った志高き廉吏。質実にして公明正大、また誠実で無欲な人柄で礼節を重んじるが、一方で情に欠け、己が正義のためなら情けをも捨てる極端さも併せ持つ。


かんけい】(50)

あざなは子儒しじゅ。冬隷と同郷の、洛州計陽の人。

温厚な性格で何事にも寛容、来る者拒まず去る者追わず、天意に任せ道義に生きる人。官職は右大臣。また張催と同じく古典や歴史、風流を愛で暮らしている。必要以上の贅沢を嫌い義理を重んずるが、優柔不断で統率力に欠ける故、宰相になれる器ではあるまいと評される。


山瀬やませ継臣つぐおみ】(36)

天子のお膝元である洛州洛華らくかの人。

詩文のみならず占星や陰陽道に精通し、元は神事や祭を執り行う祭事省の役人であった。知謀に長けるが功名心が強く、加えて気も短い故に人望は薄い。李鮮からは「あれは狼や虎に在らず、眼光鋭いただの犬故、恐るるに足らぬ」と一笑に付される。


ちんりょう】(46)

あざな義孝ぎこう。洛州洛華の人。

李鮮の最側近として公私の万事を補佐し、允文允武の豪傑だが、無法地帯「犬仁門小路けんじんもんこうじ」の育ちである。ならず者として強奪や盗みを繰り返してきたが、従者として雇わんとして訪ねてきた李鮮の技量や才覚に惚れ込み誘いを受けた。主君を第一に考え、忠孝を重んずる。


仲孫ちゅうそんしょう】(43)

あざなは影晴えいせい。山奥にある辺境の地、関州かんしゅう関嶺かんれいの人。

冬隷の側近として数々の助言や献策をし、後の人に「隻眼白髪まさに王佐の才」と称される。生まれつき一房の髪が白く、流行り病によって右目を無くしている。仕事は完璧にこなすが、寡黙で人付き合いはあまり好ない。また関州の方言を隠すために誰にでも敬語で接する。


蛇骨斎だこつさい】(48)

本名は程啓ていけいあざな蛇優だゆう。洛州汪漣おうれんの人。

華都随一の妖術師で、術師一門「蛇骨流」を建てる。妖術のみならず神話や陰陽道、占星学と天文にも明るく、霊媒や蠱術も会得している。

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