過去の後悔の中で生きている。
「はぁ・・・・。」
私はため息をついた。
最近は、オンラインでテレビ電話するのが日課になっている。
今日は、小百合さんとテレビで話をしていた。
彼女は4歳年上で、前の前の職場で知り合った。
ラインだけの会話だが、こうして会うとなんの違和感もない。数少ない私と波長が
あう友人だと、私は勝手に思っている。
「また、何か悩んでるの?。もう何も聞かないけど。」
小百合さんは笑う。
「常に・・・そうかもしれません。」
私は不器用で、子どもの頃からいつも悩んでいた。
SNSで見る、よその写真。
男女ともに海で笑って映っているSNS写真。
パーティでの笑っている写真。男の子とも自然に笑って話をして。
あの子みたいに、カーストが上位の子のSNSみたいにあんなふうに笑うのが夢だった。
でも、どうしてか物心ついた時から、うまく笑えない。
人間関係も小さくて。友達も少ない。
あの人みたいにに笑えていたら。
振り向いてもらえたのかな。
みんなに見てもらえない。
どんなに変わった子だと面白い子だと言われても。
それだけで。誰にも気にしてもらえない。
雑草はずっと、雑草のまま。
あふれた想いがあったが、私は何も言えなかった。
「後悔の中で生きているって感じです。」
小百合さんは、黙って、飲んでいたソーダをテーブルに置いた。
オシャレなグラスで飲んでいる。サクランボが似合いそうなブルーの色が入っているグラスだ。
「何か学習した事はある?。」
胸が痛む。なんだか責められる気分になった。でも、一つだけ言える事は。
「失敗は相変わらずするけど、昔犯した過ちの素となった事は、避けていきてます。年とともに、それが増えていく感じ。ここは危険だよって、私の中で危険センサーが出てきて、そこを避ける。ここを進むとどうなるか。分かってきた。そうやって生きていたら、最初は窮屈だったけど、すこしずつ楽になってきて、前より人と話しやすくなってきた気がします。年を、それなりに重ねているのかな。」
私は、ひとつずつ思い出しながら、気づかされながら話していった。
そしてほっとした。
良かった。私だって、ちゃんと成長しているのかな。
胸の痛み。
少しずつ、らくになるかな。
青春時代。
背を伸ばして、伸ばしても。
ちっぽけにしかなれなかったわたしだけど。
年を重ねるたびに。
少しずつ、カサブタも、とれていくかな。
大好きだったんだよ。
あなたに憧れていたんだよ。
あなたの背中に届くように精一杯背伸びしてたんだよ。
変な事ばかりで困らせてごめんね。
一緒にいてくれてありがとうね。
大好きだったよ・・・・。
いつか同じ所にたどりついて。
ほんの数秒でいいから。
笑って少しだけ、最初で最後の挨拶をかわしたい。
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