第一章 辛い気持ち・嫌な気持ちの消し方

 この章では、「辛い気持ち・嫌な気持ちの消し方」について、私の考えを書いていきます。


 まず、「辛い気持ち」や「嫌な気持ち」を自分の意思だけで、「完璧に無くす」ということは、不可能だと思います。


「気持ち」という表現が、「自分の意思でコントロールできる・しなくてはいけない。」と思わせるのかもしれません。


 では、「気持ち」を「出来事」に置き換えて考えてみると、どうでしょうか?


「辛かった出来事」「嫌だった出来事」

 一度起きてしまった出来事、事実を無かったことにはできません。


 これらを「完璧に無くす」には、タイムスリップするしかありません。


 ですが、「辛かったけど、元気になった」という人は、今日もどこかに居ることでしょう。


 その人は、タイムスリップをして、過去を変えてきたのでしょか?

 勿論、違います。


 その人は、「友達が励ましてくれた」とか「先輩の言葉に救われた」とか、「辛かった出来事」を「上書きする出来事」があったのだと思います。


 これによって、「辛い気持ち」が「元気な気持ち」に上書きされ、「辛い気持ち」が過去のものになり、「今」は、「元気な気持ち」で満たされ、「辛い気持ちが無くなった」と思うことができているのです。


 そのため、厳密には、「辛い気持ち」が「無くなった」のではなく、「辛い気持ち」の「濃度が薄まった」だけなのです。


 とはいえ、「気持ちの濃度を薄める」ということも、簡単なことではありません。

 むしろ、これが一番難しい。


 例えば、目の前に、「焼酎のロック」が「コップ1杯分」あったとします。お酒の弱い私は、目の前の焼酎を飲み干すためには、「コップ10杯分」の「水」が必要でしょう。


「コップ1杯分」の「焼酎のロック」を「コップ10杯分」の「水」と一緒に「バケツ」の中に入れて濃度を薄めてしまえば、ロックの時と比べて、遥かに飲みやすいでしょう。


 しかし、この例えを「辛い気持ち」の問題に当てはめてみると、「辛い気持ち」の濃度を薄めるためには、「辛い気持ちの10倍楽しい気持ち」を見つけ、経験する必要があり、「辛い気持ちの10倍楽しい気持ち」が入る心のスペースがなければ、それを見つけても、濃度を薄めることはできないため、お酒ほど簡単な話ではないように思えてくるでしょう。


 悩んでいたり、落ち込んでいる時に「楽しめ!」

と言われたって、楽しめるはずがないですよね。


 先程、例え話として、「友達が励ましてくれた」や「先輩の言葉に救われた」などと書きましたが、そもそも、「悩み」というのは人に言えないことも多いかと思います。


 では、このような状況の中で、「辛い気持ちの10倍楽しい気持ち」を見つけ、経験し、「辛い気持ちの濃度を薄める」ためには、どうすれば良いのでしょうか?


 長くなってきたので、次の章へ

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