7頁

いやね そもそも あたしが人間になったのは

何も なりたくてなった訳じゃございあせんで

第一 人間なんて 大嫌いでしてね

だってそうでしょ


人の頭の上をだ 轟々ごうごううるさい音たてて

こっちが寝てようが おかまいなしとくら

それに ずど~んって銃でも撃ってみなさいよ

湖の底まで振動してだね ぐらぐらって


迷惑してるの 何もあたし達だけじゃないんですよ

その度 山中が大騒ぎなんですからね

それに 釣り するでしょ

あれで仲間が何匹やっれっちまったことか


大体ね デリカシーってもんがないんですよ

あんな乱暴な生きもん やだね~

だからね なりたくなんかなかったんですよ

それがですよ まったくだ


天道てうどうさんがね どうしてもって

お天道さんに頼まれたんじゃ 嫌とはいえねえな

一寸でいいからって 一回こっきりでね

短期の約束で 人間になったんですよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る