心の記憶
根鶴 蒼
プロローグ
気づいた時には、もう夕方だった。覚えのないノートに綺麗に文字が書かれた便箋を持っていた。頬に一滴の涙が流れている。なぜ、泣いているのだろうか。全然わからない。そばにあったノートを見ると色々と思い出が書かれていた。おそらく日記として使っていたのだろう。便箋には一輪の花が描かれていた。最近おぼえたその花はとても色鮮やかに描かれ、濡れた後のように少しシワになっていた。
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