第44話 心臓によくないから正直に答えて下さい!
今年の『コップヌードル卓球大会』のベストカップル賞は僕と先輩のペアだ!
優勝候補筆頭だった
準ベストカップル賞は、本当は雪佐先生と壱語先生だけど生徒会主催の生徒行事という理由で受賞を辞退したから、第3位の得票だった
僕と先輩は、パック牛乳を紙袋に入れて下校した。
「・・・いやー、それにしても並野君が思い付いた奇策、雪佐先生も感心してたよー」
「偶然、上手くいったに過ぎませんよ。今回は色々と運が僕たちの味方をしてくれました」
「たしかにねー。並野君のコップヌードルが壊れた時もそうだったしねー」
「それに、対戦相手が先生同士のペアで、しかも優勝候補だったから『
「うーん、それはあり得るかも」
「そう考えれば、ホントに幸運が重なった結果が、このパック牛乳なのかもしれません」
僕はあくまで控え目に評価したつもりだけど、最初から『ベストカップル賞』を狙うなど無理に等しいのだ。無欲の勝利とでも言うべきか、素人なりに頑張った結果が実を結んだと思っている。
でも・・・僕には1つだけ、気になっている事があるのだ。
ただ・・・これを言うには相当な勇気がいるけど、言うとしたら今しか無い!
「・・・せんぱーい」
「ん?どうしたの?」
「真面目な質問をしてもいいですかあ?」
「いいよー」
「論寄君を始めとした、うちのクラスの男子連中が表彰式とかに盛んに言ってましたけど、本当に見せパンを履いていたんですかあ?」
「ないよー」
「はあ!?」
僕は少々揶揄い気味に聞いてたけど、先輩がアッサリと言った言葉に思わず心臓が口から飛び出しそうになった!だけど当の本人は平然としている!!何を考えてるんですかあ!!!
「ホ、ホントに履いてなかったんですか!?」
「冗談に決まってるでしょ?」
「心臓に良くないから正直に答えて下さい!」
「心臓にいいように正直に言いますけど、さっきの言葉は冗談です」
「勘弁して下さいよお」
僕はホッと胸を撫で下ろしたけど、そんな僕に先輩は『グイッ』とばかりに、軽く肘打ちしながら笑っている。
「・・・この際だから並野君には言っておくけど、お姉ちゃんの知恵をちょっとだけ借りたんだよね」
「借りた?」
「『いかにも履いてます』だと面白みがないでしょ?だからあ、ちょーっと高校生では履かないような物をお姉ちゃんが貸してくれたんだよねー」
「へえー」
「そのお陰で男子が結構色めき立ってたのは私も分かってたけど、見せパンであそこまで騒ぎ立てる男子って、ホント、能天気だよね」
「まあ、僕はちょっとコメントし辛いので、この辺で勘弁して下さい」
先輩、冗談キツ過ぎます!本気の本気で心臓に良くない事を言わないで下さい!!
でも、先輩の活躍(?)があったからこそ『ベストパ〇チラ賞』、失礼、『ベストカップル賞』が貰えたのも事実だから、あまり深く考えない方がよさそうですね。
そんな事を僕は考えながら先輩の横を歩いていたけど、もう先輩とはお別れだ。そう、先輩の家がある県道の交差点まで来たからだ。
「・・・それじゃあ並野君、明日からまた張り切ってバイトを頑張りましょうね」
「その前に本業の方も頑張りましょう」
「それもそうね」
「お互いにね」
「だね。じゃあ、また明日」
「はいはーい」
こうして、僕は先輩から受けた2つ目の依頼『一緒にコップヌードル卓球大会にエントリーして』は無事に(?)終了した。いや、無事どころか賞品をゲットして終了した。
次の日、僕と先輩はタイソーで
僕と先輩は、互いにパック牛乳6本ずつ、それとリング・デ・ポンを3個ずつ手に入れた形になった。先輩には色々と振り回されたし、今回も僕の方が先輩に110円を渡したというのも変な話だけど、これはこれで楽しい大会でした、ハイ!!
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