砕氷
紅炉上一点の雪の如く
私欲疑惑総て消えてしまえば
どんなに楽になれるだろうか
肉体拘束より精神呪縛の方が死ぬより辛い
誰かを愛するのに何故こんなにも苦しまねばならないのか
どんなに足掻いても決して一つにはなれない異物だからだろうか?
それ故にこんなにも執着してしまうのか
だが 貴方の事を信じたいのに貴方の全てを信じることがどうしても出来ない
脳裏の何処かで猜疑心が鎌首を擡げてくる
何故 何故 何故
本当に貴方の事が好きなのかどうかも疑わしく思えて来る
虚しさと苦しさが綯い交ぜになって呼吸もままならない
嗚呼 出来ることなら叩き割りたい!
二度と再起出来ないくらい粉々に打ち砕いてしまいたい!!
このしがらみを…この冷たく寒い氷塊が溶ける迄待つ前に
精神に深々と突き刺さる凍て付いたこの棘を抜去してしまいたい…
この痛みさえ愛しくて止まないこの棘を…
根絶させてしまえたら…
砕け散る氷の白い破片と混じり合う赤い飛沫
深く深く食い込んだ氷の残骸が心臓を尚締め上げる
溢れる涙は…止まらない…
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