白昼夢


或る日の午後 シェスタの時間

あなたは長椅子の上に寝そべり

大きなクッションにその身を埋め

ゆうるりと夢を見ている

薄紫色に染められたリンネルのブラウス

襟元からのぞく首から垂れ下がる銀色の十字架

白地の布に光を纏った豊かな髪を泳がせながら

時々

薔薇の様に赤い赤いその艶めいた口元に微笑みが浮かぶ

いつもなら光を湛えた湖の様に澄んでいるのに

今は空ろな瞳で

一体何を見ているのだろうか

何が映っているのだろうか

その長く露光る睫毛によって縁取られた泉には

至上の楽園を探しに旅立つあなたの傍で

時間は息を潜めてゆっくりと過ぎて行く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る