RE:異界の傭兵団~現代スキルで世界統制を目指す~

North.s.Traveller

RE:PROLOGUE

第1話 RE:トアル”未来”での夜




 ……シャッ、シャッ、シャッ……



 ――数多あまたの星が光り、満月が山よりも高く昇る真夜中……。

 この奇妙な音は、とある森の中で鳴っていた。


 ……シャッ、シャッ、シャッ……


 ――森の中でうっすらと見える明かり……。

 そこは、誰かの記憶の片隅にうっすらとしか残されていなかったような、荒れ果てた小屋だった……。



 ……シャッ、シャッ、シャッ……



 ――何者かが、小屋の中を窓からそっと覗く……。

 その屋内にはすす汚れたランプが明かりを灯し……長方形のボロボロ木製テーブルを挟むように、ボロボロ椅子が2つ。おまけに、今にも壊れそうなロッキングチェアが奥に一つ。ベッドはなし……。


 旅人の一晩の宿や、アラクレ達のホテル隠れ家にはピッタリだろう。



 ……シャッ、シャッ、シャッ……カタン……



 ――しかし……さっきから聞こえるこの音は、何なのだろうか……?

 ……あぁ、因みに今までのは感想は(物語の始まり故に、出血大サービスかつ地滑り的に出張してきた)”語り部ナレーターである私”じゃあない。


 礼儀を欠いた、何処かの誰かさん・・・・・・・・がそう聞いては……うっすらとしか見えない小屋の中を、よ〜く目を凝らして見回しているのだ。


 そして……”音”ではなく、”机”の上にヒントはあった。

 そこには、”フツー”ではお目に掛かれない物がズラリ・・・と、並べられていたのだ……。



 ……シャッ、シャッ……



 ――西部開拓せいぶかいたく時代……市民、保安官に、アウトロー……。

 様々な人たちに”平和ピースメーカー”をもたらした……アメリカ製、ウォルト・ファイヤーアームズ社製、「ウォルトSシングルA・アクションA・アーミー」……!



 「……おっ!」


 ……シャッ、シャッ……



 ――アメリカ軍に採用され、30年以上、現役で撃ち続けられている……アメリカ製、ウォルト・ファイヤーアームズ社製、「M1911」……!



 「あれが……!」


 ……シャッ……カタン……カチッ……!



 ――西部開拓時代、ガンマン達のもう一人の相棒・・・・・・・となっていた……アメリカ、オリバンスター社製、「オリバンスター M1894」……!



 「例の”魔どッ……!」



 ――しかし、他にもまだまだ机の上にあっ・・・・・・・・・・得物(えもの)達に、目移りする事は既に不可能であった……。

 月明かりの中、一瞬の”轟音”の後に窓が割れ……小屋の中を覗いていた”男”は頭から滝のように”血”を流し、地面にひれ伏した……。

 

 その背後には……月明かりをバックに、奇妙な”音”のヌシが立っていた。



 「……クソッ!」



 ――苛立っているのか、そう呟く。

 ”男”は何事もなかったかのように、倒れた男を近くの木の側まで引きずって行き……乱暴に転がした後、小屋の中へと戻っていく……。


 そして、窓の側に置いてあった”バックパック”を引っ掴むと……机の空いているスペースに中身をブチ撒ける。



 「……ハァ……」



 ――長いのタメ息の後……男はボロボロ椅子へと座り、ブチ撒けた物を使って黙々と作業を始める。


 ブチ撒けられた物……それは、”15世1401年〜紀半ば1500年から17世1601年〜紀半ば1700年”辺りまで続いた「大航海時代」……。

 数多の海を駆けてきた”海賊”達が愛用したであろう……。

 数十丁にも及ぶ、「フリントロック・ピストル」であったのだ……!


 火薬を込め、棒で突き、弾を込めて、棒で突く……。

 何十回と繰り返される作業の中、男は呟く……!



「……待ってろよ……」



 ――その瞳は、ある種の”狂気”と”報復心”で満ち溢れているようであった……。





 <異傭なるTips> 銃


 銃とは、”火薬”や様々な気体の圧力・・・・・(ガス圧、爆圧、空気圧等)を用いて、”弾丸”と呼ばれる小型の飛翔体・・・・・・を高速で発射する道具の総称。


 銃から高速で発射される、などの”金属弾”は高い”運動エネルギー”を持ち……

 強い”殺傷力”や”破壊力”を持つので、<狩猟の道具>や<武器>として用いられる。


 その歴史は古く、8世紀末701年〜800年から9世紀初頭801年〜900年頃に、中国の王朝で開発された「火槍かそう」(棒や槍にロケット花火を括り付け、それを相手に向けて発射する”擲弾発射機ロケットランチャーもどき的な兵器)が、世界初の「黒色火薬を使用した飛び道具」であり……

 初めて「銃の原型」となった物とも言えるだろう。

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