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「光月君、私という彼女がいながら、何言ってるの? 林さんは光月君のことを友達だなんて思ってないわ。それにこの人と付き合っているのよ」
「北条、ごめん。俺は和が好きなんだ。北条とはやっぱり付き合えない」
「ひどい」
口論している俺達に、男が口を開いた。
「北条……? そうだったのか、君が北条麻夕さんなんだ」
流石、北条だな。
高嶺の花だと思っていたが、他校にも知られていたとは。
男は和の手を離し、和に笑顔を向けた。
「和ちゃん、意地の張り合いはもう終わりにしたら? 素直になった方がいいよ」
「し、白金君……」
「和ちゃんは、本当は彼と友達に戻りたいんだよね」
「ち、違います」
「口で否定しても、心は正直だよ。その証拠に、和ちゃんは正門にいた僕をスルーした。僕と付き合ってると、彼に思われたくなかったからだよね?」
「……それは」
「受験のあと、カフェで和ちゃんの様子がおかしくて、ずっと気になっていたんだ。和ちゃんは彼と友達に戻りたいに違いないと、そう直感した。だから……それを確かめるために、今日はここにきた。でも、その甲斐があったよ。彼の本心も和ちゃんの本心も分かったから」
「白金君は……。私のために……?」
「和ちゃんは帰国して初めてできた友達だからね。ハッピーになって欲しい。それに和ちゃんがアマリリス高校だと知って、聞きたいこともあったから。でも、その必要ももうなくなったけど」
回りくどい言い方だな。
いったい、何が言いたいんだ。
「そこの男子、ゴチャゴチャと煩いな。光月君と私の邪魔をしないでくれる?」
北条は腕組みをして、男を睨み付けた。
「今は大和撫子とはほど遠いけど、僕は君も嫌いじゃないよ。君に逢うために、帰国したようなものだからね」
北条に逢いに帰国?
北条は海外でも有名なのか?
「は? あなたさっきから何言ってるの? イケメンだからって、女子がみんな尻尾振ると思ってるの?」
「尻尾? 君、尻尾あるの? 日本人って尻尾があるんだ」
「バカバカしい。話にならないわ」
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