22
―そして、五日間の期末試験は終わった。試験期間中、聖也は私に話しかけることはなかった。
聖也が私を避けてる。
私も聖也を避けてる。
私達の友達関係は終わったんだ。
ひとりぼっちには慣れていたはずなのに、教室にポツンと座っていると、孤独感に支配されて寂しさを感じる。
同じ教室に聖也がいるのに。
私はまたひとりぼっちだ。
―二日後―
いつものように廊下の掲示板に、期末試験の成績順位表が貼り出された。
クラスや合計得点は記載されてはいないが、成績上位や成績最下位はいつものメンバーでほとんど変動はない。
「えーー、嘘、上位の順位が変わってる」
「林さん、どうしたんだろ?」
成績順位表を囲んでいた生徒が、口々にそう話している。
私は一番後列で、成績順位表を見上げて呆然とした。
―――――――――
【期末試験成績順位表】
一位 秋本秀
二位 林和
三位 寿泰二
四位 指原真理恵
五位 坂下健吾
・
・
―――――――――
成績順位表は学年ごとに、全員の順位が記載されている。成績の振るわない生徒には、地獄の成績順位表だ。
私は自分の順位を見て、小さな溜息を吐いた。本当は見る前からわかっていた。
試験二日目以降、勉強に集中できなくて、いつもなら百点取れる教科がうっかりミスで減点されていたからだ。
入学以来、初めてだった。
学年一位から、二位に落ちてしまった。
ショックのあまり言葉も出なかった。
みんなが私の成績を話しているような気がして、俯いたまま廊下を歩く。
勉強だけが、唯一の存在価値だったのに。学年で二位だなんて……。
慰めてくれる友達も、励ましてくれる友達も、話しかけてくれる友達すらいない私は、ここにいる存在価値なんてない。
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