第57話 両者ともに後輩にゲロする。

 世間ではゴールデンウィーク……


 と現実逃避する前に、本日はまだ4月下旬。

 ガンダムウィングまでは……

 GWまではあと数日ある。


 どうして現実逃避しているかというと後輩の山梨に捕まったからだ。


 「先輩、あのメールは何ですか。ついに頭イっちゃいましたか?」


 失礼な。俺が上司だったら査定引いても良いんだぞ。


 横暴だとか職権乱用だとか言うかもしれないけど、先に暴言を吐いたのは向こうだからな。


 「文字通りの意味だ。実は黙ってたけどな。3月から結婚を前提に付き合ってるひとがいる。」


 「はああぁぁあぁぁああぁぁ?」


 飯屋でうるさいな。他のお客様に迷惑だろ。


 一応周囲に頭下げてはいるけど。


 「どど、どういうことっすか。というか写真見せてくださいよ。」



 と言われたのでスマホの待ち受けを見せる。



 「はぁ?これレイヤーじゃないですか。2.5次元を自分の女扱いって…」


 「あほか。だからその中の人だよ。時間ある時に話しても良いけどな、実は幼馴染だったんだよ。もっとも小中校のど真ん中がないから最近までわからなかったけど。」


 「それなんてラノベですか?そんな都合の良い話……でも可愛いっすね。」



 「まぁな。山梨の嫁も昔やってたんだろ。だからわかるかもしれんが再現とか半端ないんだよ。」



 それから飯を食べ終わり一服休憩してる間友紀さんとのことを話した。


 魔法使いだとかは別ね。



 ちなみにこの前撮影した真紅を待ち受けにしている。


 「ちょ、先輩…」


 俺のスマホの画面を向けてくる。


 「なっ」


 それは、水銀燈な自分があ~んされてるとこの画像だった。


 「これいつ撮ったんですか?」



 「あー、1月だな。」

 食後のお茶を啜りながら答える。夏でも食後のお茶はホットだよな~。

 朝起きて最初のコーヒーも季節問わずホットだし。


 「付き合う前からラブラブじゃないっすかー。」


 「さっきも言ったけど、まともに話すようになったのは冬コミの時だ。共通の知り合いがいて、その後薔薇乙女合わせをした時にな…」


 「先輩が普通に人間の女性に興味があったなんて。」


 「失礼だな。結婚式嫁さんと娘さんしか呼ばないぞ。」


 「それは流石に寂しいからやめて欲しいです。」 

 

 そうこうしている内に昼休憩は終わりを迎える。

 5月も近くなると外は暖かいから暑いに変わってくる。

 これが「あぢー」とか言う頃には夏コミなんだよなー

 花火や夏祭りだなーと考えざるを得なかった。





☆☆☆☆☆


 一方その頃……


 「えーーー、金子さん結婚するのー?」


 会社の若手女子社員が声をあげる。


 ほとんど女性しかいないから特に異性に気を使う機会もないのだけれど。


 「あ、まだ決定ではないですよ。結婚を前提に付き合ってるというだけで…」



 その後写真を見せてーという話になるのは当然で。


 スマホの画面を見せた。

 そして失敗したことに気付いた。


 「水銀燈の人?」


 あれ?話通じる?


 だって半年前は話通じなかった…

 あぁあれは世代で通じないだけでしたか。

 確かに私も初代ガンダムやマジンガーのようなロボットアニメを振られてもあまり知らないや。


 「コスしてるとかっこいいのか可愛いのかわかりませんね………ってあぁーーー!!」


 人の携帯を隅々まで弄らないで欲しいですが。


 あぁそれは恥ずかしい。


 「あ~んして…金子さん…乙女っすね。」

 語尾がおかしいですよ。


 「というかこの真紅もカワイイですね。流石童顔なだけはあります。」


 それは馬鹿にしてるのだろうか。

 「共通の知り合いがいたので…1月に薔薇乙女合わせを……」


 「らぶらぶっすね。でも付き合ったの3月って言ってませんでしたっけ?」



 その後さらに根掘り葉掘り話す羽目に。


 かくかくしかじか


 「――と言うわけで両家公認でお付き合いをしているのです。」



 「ろまんちっくですね。実は1歳の時からって。そういえば金子さん、男の人苦手ではなかったでしたっけ?」


 「今でも苦手です。真人さん以外は家族と他一部を除いて。それでも前よりはマシにはなってるとは思いますけど。」


 「子供は?産休とかも考えないといけないですよね。」

 多分これは自分の年齢を考慮して、早くしないと高齢出産は大変だから言ってくれてるとは思うけど。

 

 「まだ考えられません。って貴女も外堀埋める派ですか。」


 「何の事かわかりませんが、ここまで話してご破算はないでしょう?」


 「確かにそうですけど……それでもすぐではないですよ。」


 矢継ぎ早に、やかま進藤たんのように質問を投げかけてくる後輩の攻めも昼休みの終了と共に終わる。



 「結婚式には呼んでください。それと、コスしてない写真も用意しておいた方が良いですよ。」


 確かにそうだ。


 ほぼコス写真しか持ってない事に気付いた。


 友紀はそこでスマホを弄り、家族と書かれたフォルダを開く。

 もちろんこれはダミーだ。

 シークレットとか名前だと一発でバレて開かれる可能性がある。


 「ふへへぇ」


 友紀さんらしからぬ言葉が漏れた。


 そのフォルダには、東武動物公園で膝枕をしている写真が収められていた。


  

――――――――――――――――――――――――


 後書きです。


 最後の膝枕の写真は三依ちゃんがこっそり撮ったやつですね。


 GWは修羅場です。ヲタにとっては修羅場です。


 イベントラッシュです。


 まぁある程度の年齢の社会人には、そんな休みないから無理って人多いでしょうけど。


 この頃はドリームパーティとかM4?M3?とかありましたよね。


 ゲームショウもこの時期か。

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