第35話 天草家襲来!真理恵さんはお母さんだな。

  「どうしてこうなった。」


 俺は目が覚めると身体のあちこちの異変に気付いた。

 

 友紀さんの顔が目の前にある。俺の右胸と右の二の腕を枕にする形で。

 ほっぺたは完全に胸にくっついている。

 友紀さんの右手が俺の左胸に…微妙に乳首の辺りに置かれている。

 友紀さんの身体そのものは俺の右半身にべったりくっついている。

 ちなみに胸からの弾力はほぼない。あ、ごめんなさい。

 友紀さんの右足が俺の両足の間に来ていて少し絡まってる。

 そして膝?腿?が…息子に少し触れている。

 あ、いけない。意識したら…って意識する前から元気でした。

 申し訳ありません、生理現象です。

 触れてる事によるものではないと思います。

 夢も…多分えっちな夢ではなかったと思います。


 やがて友紀さんの顔が動き…


 「どうしてこうなった!」


 俺と同じ事を絶叫していた。


 いやそれは俺が聞きたいです


☆☆☆☆☆


 「えーと、友紀さん?」


 「は、はい。」


 上目使いで見てくる姿が愛おしいと思える程超可愛い。

 寝起きなのに。


 「体勢を変えていただけるとありがたいのですが。」


 「そ、そうですよね。でも緊張しちゃって固まってしまい動けません。」


 「そそ、そうでしたか。でも俺が動こうとすると多分色々触っちゃいそうで…」


 「…構いませんよ。」

 

 「はい?」

 今構わないと言ったの?

 いやいやそれはまずいでしょう。

 昨日から変ですよ友紀さん。唐突に大胆過ぎというかダイターン3ですよ。あれ、逆か。


 そこで妙な視線を感じることになる。

 

 「あ……」


 その主と目が合った。


 「あ、バレた。」


 そういやなんかあった時ように合鍵を渡していた。


 正確には隣の戦利品部屋の鍵をだけどな。


 そこにこの部屋の合鍵も保管してあるんだけど。


 ただ。渡したのは旦那の方なんだけどな、なぜ貴女がいるの?


 大方嫁の暴挙に勝てなかったのだろうけど。


 「真理恵さん…」


 「はろはろ~。二人のイベントスチルは20分くらい前から撮ってるよ~」


 「はうあっ。らめぇぇ、消して消して~」

 昨日に引き続き、二度目のらめぇいただきました。

 というか、その衝撃でブレイクが解けたようで、友紀さんは俺を拘束から解き放ちました。


 「え~やだ~。大事な先輩と、大事な仲間のくんずほぐれつな写真、うちの家宝にしたいくらい。」


 「それと、まこPさんのちょもらんまもバッチリ!」


 「はあああああああああ?ちょ、ちょっとま…」


 えぇ、言い訳出来ないくらいそそり勃ってます。

 だって仕方がないじゃない。男の生理現象ですもの。


 「富士山よりもた~か~いちょもら~ん~ま~♪」


 「そんなこいのぼりみたいに歌わないでくれます?」

 って友紀さんがこっち見ちゃったじゃんか。もー恥ずか死ぬ。

 ほらー、友紀さんまた固まっちゃったぞ。。どうしてくれるんだ。


 「一回私で試してみる?後ろなら旦那も怒らないよ。」


 「そ、それはもっとらめぇぇぇぇぇぇ」

 うん、今日だけで二回目のらめぇいただきました。

 というか天草家、ただれてるな。


 ちなみに真理恵さん達とは家も近いしお互い本名を知っている。

 普段はコスの場とかなので極力CNで呼んでるけど。


 「友紀さん真っ赤。大丈夫ですって、ネタですから。まこPさんからかうのは宿命です。」

 そんな宿命ラ○ウにでも砕いてもらえ。

 

 と言ったところでインターホンが鳴った。


 「はーい。」


 「あ、旦那が車置いてきたところだから。代わりに出るよ。」


 まぁ誰が来たのかわかってるなら良いか。

 その間に息子を鎮めなければ。


 だめだトイレ行こう。

 出すもの出せば大丈夫なはずだ。

 ちなみにえろいことじゃないよ。


 と、思ったけど先に友紀さんがトイレに行ってしまった。


 じゃぁここで違う事でも考えて鎮めよう。


 

☆☆☆☆☆


 「僕に買い物に行かせてお前は何をしてたんだ。」

 呆れえた五木さんが真理恵さんを問い詰める。

 「だって、美味しそうなエサがあったら撮りたくなるじゃん?」


 逆の立場ならそうかもしれないので何とも言えなかった。

 「先輩、もう良いですよ。隙をみせたこっちも悪いですしおすし。」

 「ってそもそもどうして友紀さんは俺の布団に?」

 疑問に思ってたんだよ。ベッドで寝てるはずの友紀さんが起きたら俺の布団の中にいたってことが。

 「あ、夜中トイレに起きて、戻ってきた時に気持ちよさそうに寝てる真人さんをみたら…ちょっとくらい添い寝してもバチは当たらないかなって。」

 まぁ潜り込むタイミングってそうでしょうけどね。


 「あんたらもう結婚しちゃえば?」


 うぉぉぉぉぉおい。真理恵さんや、あんたなんばしよるねん。

 「ちょちょ…それは私一人の問題じゃ…ないし?」

 と、俺の方を上目使いで覗いてくる友紀さん。


 「それに規制事実…ほら既成事実ですよ友紀さん。」

 小声で真理恵さんが友紀さんに耳打ちする。


 「犯人は貴様か……何か吹き込んだな。」


 「えー、そんな人聞き悪いな~。こんな可愛い愛のキューピッド捕まえてぇ。」


 「お前の場合、黒い方のだな。僕の嫁が過剰な支援をしたようで申し訳ない。」

 五木さんが代わりに謝ってきた。

 

 「手綱握っといてくださいよ。」

 面目ないと返ってきた。


 「ま、真人さん……出来ちゃったみたいです。」


 「ってあんたもノリ良いなァ友紀さんや。」

 「これでも演劇部のサンバルカンと呼ばれた3人だからね。まぁ3バカとも言われてたけど。」


 怖くて高校時代の事聞けないなぁもう。


 「そんなに早く子供出来てたまるかー。俺は童貞だー」


 大声で叫ぶ事かと思った。

 

 「うん、知ってる。」

 真理恵さんは死にたいようだ。


 ぐりぐりぐりと、某春日部の幼稚園児が母ちゃんにやられるあのこめかみのぐりぐり攻撃を食らわしてやった。


 「ちょ、これか弱いレディにすることじゃない。しかもマジ力入ってるし。へるぷっへーーーるぷっ!」


 「うちにビートルズのCDは置いてねー。」



☆☆☆


 というやりとりがあって朝食の準備。


 騒動の責任を取るという形で真理恵さんが作る事になった。


 その間にシーツを洗濯機に入れ、布団をベランダに干した。


 友紀さんが手伝うというので初めての共同作業を行った。ん?初めての共同作業か?これ。


 手持ちぶたさな五木さんは真理恵さんを手伝っている。


 


 「そういやなぜウチに?」


 朝食を食べながら、なぜここにこの二人が来たのか尋ねた。


 「ナニかしてないかチェックにきた。」

 今なんか表記がおかしいと思った。おかしいよな?


 「コ○ケと進修館の写真のデータを届けに来たんですよ。それと…嫁がゆきりんさんの事気になるからまこP邸にいくぞーと言い出して。」


 「あぁ、写真の件はありがとうございます。言ってくれれば取りに行ったんですけどね。」


 五木さん達は今隣の加須市に住んでいる。お気付きだろうか。加須と鷲宮は隣同士、鷲宮神社近いんだよ。


 東鷲宮の百観音温泉でばったり会ったこともあるくらい。


 「後輩としては気になるんですよ。大事な先輩がまこPさんという悪魔に酷い目に合されてないか。」


 「そこはこれまでの付き合いで理解していて欲しかった。」


 「まぁ冗談ですけどね。信用も信頼もしてるけどそれ以上にヘタレなの知ってるしー」


 ぐぬっ合ってるだけに否定出来ないけどさ。


 「真人さんは紳士でしたよ。全裸見ても襲ってきませんでしたし…あ」


 「よし、まこPさんちょっとツラ貸してもらいましょうか。」


 「ちょっとマテ、俺が一体なにを?」


 「友紀さんの裸を見ただぁ?それに見といて何もなかっただぁ?こんな魅力的な人に何もないだァ?」

 ちょとだから真理恵さんあんたおかしいって。

 見た事に怒ってるのか、見ておきながら手を出さないなんて魅力がないのかと怒ってるのかどっちだ。

 あ、両方っぽいな。


 「いや、あれは不可抗力だし、そこはジャンピング土下座で謝ってるし。許してくれたし。それととても魅力的だったのは認めます。」

 だって息子反応しちゃってたし。


 「……腑に落ちないけど勘弁してあげる。ただしヘタレの称号は消えないからね。」

 いや、それこそ腑に落ちないんだけど…


 「あ、それと今朝の写真も別途送るわ。これでただの友達とか笑わせてくれるわー。」

 どっちに言ってるんでしょうね。主に俺でしょうけど。


 友紀さんと真理恵さんがアイコンタクトをしている。

 何のやりとりだか期になるんだけど。


 「それでここに来たもう一つの理由なんだけど…ほい、これ。」


 真理恵さんが2枚のチケットを手渡してきた。

 見覚えのあるそれは東武動物公園の動物園側と遊園地側の両方行けるチケットだった。


 「本人の了承を得たのでぶっちゃけちゃいますが、昨晩友紀さんからメール貰って、二人の関係が少しでも変わってるんじゃないかと推察した私が、明日の友紀さんの誕生日に突発過ぎて何も用意出来ないまこPさんに代わって、これを進呈します。」

 「誕生日デートしてきなさい。」


 拒否権ないやつだそれ。まぁどうしようか悩んだけど思いつかなかったのでありがたいけど。


 「夏だったらプールにも入れるやつか。懐かしい。でもすべてお膳立てってのが情けないけど助かります、あやかります。」


 「その代わり中のプランは二人で決めて頂戴、安心して。陰からこっそりつけたりはしないから。もちろん堂々ともね。」


 「偶然を装いあんたらも同じ場所でデートするという?」


 「それもない。純粋に二人で楽しんできて。」



☆☆☆


 「じゃ、友紀さんは私達が家まで送ってくるから、明日はしっかりしなさい。」


 なぜ自分にばかりケツを叩くような事をするのか……

 多分友紀さんは少しでも前に進もうとしたから。

 俺は何もしていない。

 だからだと思うけど。

 なんかもう付き合う前提で進められてる気がする。

 逃げ道はないぞと。


 朝食の片付けを済ませ、少し考え込んでいたら真理恵さんからメールが届いた。

 「ホワイトデーまでには覚悟決めなさいよ。」


 その後、友紀さんとメールのやり取りをして、明日は午前9時に車で迎えに行くことになった。

 実家の方に。



――――――――――――――――――――――――――――



友紀さんの誕生日が明らかになったので誕生日デートがぶっこまれました。


付き合ってなくてもデートって言いますよね?


誕生日の後はホワイトデーです。


多分その時に胸糞話ぶっこみます。真人の闇話と。

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