20話 魔女の処刑
「この世界に不必要な異分子、外に出ろ。」
左側の紫の髪の人物がいいます。
「妾達がわざわざお前のところに足を運んでやったのじゃ。早くせい。」
別にわざわざ来てもらわなくても、よかったですよ。
「早く立って付いて来なさい。魔術を使っても無駄よ。魔術阻害で術が使えなくなっていますからね。」
言われる前に試しましたよ。そもそも、エルフ3人に魔術で対抗しようとは思いませんよ。
部屋を出たところで、壁に隠れて見えなかった4人目のエルフに両腕を出せと言われましたので。素直に両腕を出すと、サウザール公爵家で見せられた、昔ながらの魔力封じの縄で手首を結ばれました。昔ながらのこの封じ縄を使ってくるということは、本当にサウザール公爵家の者と繋がりは全くないようです。
この封じ縄には欠点がありまして、魔力を吸い取って縄に溜めていくのですが、魔力が多い者には意味をなしません。魔力が多すぎると縄が吸い取れきれなくなり、発火崩壊するのです。因みに私は
手首の縄を引っ張られ歩くように促されます。
先頭に族長と思える緑の髪の人物、次に私を縄で繋いだ人物に私。後ろに青い髪の女性と紫の髪の男性が続き薄暗い廊下を歩いて行きます。
私の前方に揺れる緑色の髪を見ていますと、サウザール公爵様の言葉を思いだします。
『フハハハ。この新しい魔力封じがあれば、あの緑髪の偉そうなエルフを膝ま付かせることができる。ユーフィア!よくやったぞ。』
この族長らしき人物は一体サウザール公爵様に何をして怒らせたのでしょうね。しかし 、滅多にシャーレン精霊王国から出て来ない、この族長らしき人物をどうやって捕まえる気なのでしょうね。
何やら両開きの扉の前にやって来ました。緑色の髪の人物が扉の前に立つと、内向きに扉が開いていきます。緑色の髪の人物が進むと私も進むように促されます。
扉の中に入りますと、荘厳な雰囲気の円上になった広い場所にでました。なにかの儀式に使うのか中央部分だけ高くなっています。
私は中央部分に連れて行かれ、?。え。私がここに上るのですか?そんなに縄を引っ張らないでくださいよ。痛いじゃないですか。
そうして、一段高くなった台みたいなところに立たされました。縄は外されるのですか・・・この台自体に魔術封じが施されているということですか。
「これより魔女の処刑を始める。」
は?紫の人物がよくわからないことを言い始めました。
「魔女ですか?」
「お前のような者達のことを言っておるのじゃ。」
「この世界には必要のない異分子だ。」
青い髪の女性と紫の髪の男性が言っていますが、さっぱりなんのことかわかりません。
「異分子ってなんのことですか?私は普通に生きてきましたが?」
「時々あなたのような変革をもたらす者が生まれるのですよ。」
族長と思われる緑色の髪の人物が話します。
「今のギラン共和国を作り上げた者がいました。王族を頂点ととする制度を撤廃し、民が決めた者がその国を支配する。民の汚れた血を持つものに国を任せようなどと、頭の狂ったもののやることですよ。」
「お前が着ているような変わった物を作るヤツもいたな。1000年程前かそやつには逃げられてしまったな。小さな島国に逃げてその土地の者たちを味方にしやがって、流石にあの島のやつらと殺り合うのは骨が折れるから諦めたな。」
「あれはいつじゃっただろうか。2000年はたったじゃろうか。我々エルフにも異分子が生まれた時があった。今までに生まれた事がない深い闇の色の髪の者が生まれた。色も魔力も次の族長に相応しく。長とするべく育てておったのに、この国はおかしいと言い出したのじゃ。あのような魔力を持つものは惜しかったが異分子は要らぬ。お前が立つ場所で死んでいったわ。」
その人たちはきっとこの世界ではない記憶をもっていたのでしょうね。
「お前のようにこの世界に必要のない物を作りだす異分子は消さなければならない。」
は?なにそれ。誰がそんなことを決めた?あなた達が勝手に言っているだけではないの?
私は私なりに一生懸命頑張って生きてきたのに、それを否定されるなんて、許せない。
「この者に浄化の炎を」
緑色の髪の人物がその言葉を放つと共に、足元の石の台が熱を発し出した。魔女の火炙りということですか。
そっちが本気で私を殺す気なら、私も本気です。この6年間サウザール公爵対策をしていなかったわけてはありません。私の持ち物を奪わなかった、自信家のエルフの方々に後悔させてあげます。
「『イベントリー解放』」
私の周りに様々な武器や道具が一斉に浮遊しています。
「魔力は封じているはずじゃ。なぜ。」
「人の持つ魔力の波長と魔物の持つ魔力の波長は違うのですよ。ですから、人の魔力の波長だけ封じこめても魔石の魔力は封じられないのですよ。」
そして、私は一つの武器を手にする。
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