イチジクジャム

 箱売りのイチジクが安かったので、


 思い出補正もあって買ってしまった。


 一度では食べきれない量だ。


 なので、母が作っていたようにジャムにする。


 実家を出た時、写真に取っていたレシピを読む。


「こんなに砂糖入れるの!?」


 驚く。


 レシピによると、


 砂糖をたっぷり入れないとすぐ腐るのだとか。


 イチジクの皮を剥き、潰すように鍋で煮詰める。


 出てくるアクを取りつつ、


 火の熱でにじみ出る汗をぬぐう。


 煮詰まってくると、イチジクははね始め、


 砂糖を加えると更にはねて混ぜる手にかかる。


 熱いのを我慢して、レモン汁を入れて味を整える。


 熱々のジャム未満を味見すると、舌が火傷するほど熱い。


 出来上がり、鍋のまま冷ましつつ、


 少しだけ火傷した、かき混ぜる手と舌に思う。


 これを毎年作っていた母は凄いなと。

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