第6話 進化した【スキル】
痛たたた....それにしても頭が痛いな。頭の中に生きた針が動き回っている様だ。
しかし身体の方の疲れはだいぶ取れた感じがする。
はあ、本当にパパンとママンには申し訳ない事をしたなぁ。
でも進化した【スキル】にワクワクしてない、と言えば嘘になる.......!
約4年間、0歳から毎日、毎日コツコツと脳、神経、そして筋肉の結び付きを強化するっ!と意識しながら動作訓練した。
周りの人からすると、変な動きばっかりしてるなぁ〜って思われてるだろう。
やはり未来の訓練メニューはこの時代には早すぎたみたいです、天狗様。
だがっ!そんな些細な事は関係ないのだ!
恥なんてこれから俺が成すことに比べたらなんてことはない!っと、枕を濡らしながら次の日も、その次の日も頑張った。
それに、かつてここまで赤ん坊の頃から、自らの意志を持って身体を鍛えあげた者はいたのだろうか。
転生者だからこそ持てた自我と前世の記憶、【努力★】による向上心増加、そして【最先端サッカー学】が教えてくれる幼年期の身体を鍛える為の最適なメニュー。
この全てが揃ったからこそできたと言えるのではないだろうか。
【努力★】が常時発動してることは分かっているが、ただ漠然と訓練してカウントが増えたことは一度もない。
常に考えて、そのメニューの意味を意識しながらやってやっと累積時間に1カウントが追加されるのだ。
もうすぐ4歳になるがだいぶ鍛えた、使える時間は全て使って鍛えたんだ。
さあ、見せてくれ。
「ステータス!」
(もちろん言葉に出さなくても見れます)
ステータス
名前: 二宮ケイ
年齢: 3歳11か月
スキル:
【努力★】(100分の1表記)
-身体操作 100.00時間
【精密操作】New
-サッカー 26.24時間
【気配察知】New
-水泳 1.98時間
-テコンドー 0.94時間
-合気道 0.95時間
【最先端サッカー学】
【器用】
「精密操作?」
これが【体術】から進化した【スキル】か。
タップしてみよう。
【精密操作】動作を補助。使用者の望む動きを自由自在に最大効率で行う。ミリ単位の動作調節可能
ブウォン、
==注意==
《現在脳及ぶに使用者の肉体的発育が終了しておりません。その為解放率63%を上限と定め、また肉体が成熟するまで一部能力封鎖。頭痛の原因は肉体に強力な【スキル】を付与した為の副作用。時間が経てば治ります。》
頭が痛い原因発見。やっぱり肉体的疲労だけじゃ流石にここまで頭は痛くならないよな、わいまだピチピチの幼児だし。
まあ年齢が上がるにつれて解放率も上がると思うしこれから楽しみだな。
あと今はなかなか【精密操作】の効果を実感できないが、疲労感と筋肉痛が体から抜けたら楽しみだな。稼働率6割だけど相当期待できるぞ。
だが、それにしても説明を見る限りまた強そうな【スキル】が出てきたな。
「自由自在、、、」
この四字熟語?好きだわ〜
むふふふふふふふふふ
それに加えてミリ単位の動作調節可能とか最強過ぎるだろ。どの場面に役立つかあまり想像つかないかもしれなれないが、
きちんと役立つのである。
どのスポーツでもそうだが、フォーム、仕草、動作の全てには癖や違いがある。シュートフォームでどこに撃ち込むのか、ドリブルの癖で次の動作が予測されるなんて当たり前だ。
プロの世界だと、選手対策としてプロの専門家がライバルチームの選手を調べることはよく知られている。公式戦や練習までカメラで録画し、追い回し癖やすこしデモ役立つ情報を集めるのだ。
アマチュアの世界でもそうだ。
ユースJrやユースでは徹底的に注目選手のプロフィールを頭に入れる。
そこで癖や、フォームの違いがミリ単位でも変わらない、次の動作が予測不可能な選手が現れてみたらどうなるか。
対策チームのプロ達を泣かせるのは確実だ。
また対戦選手として最も嫌なタイプの相手だろ。
ディフェンダーにとっては悪夢と言ってもいい。
「くくっくはっ!はっはっっはははははははははっ!」
笑いが止まらない。
文字通りこの4年間、【努力★】がなければ気が狂いそうなくらいひたすら身体操作に力を入れ続けた。
その集大成とも言える結果に大満足である!
ちなみに【努力★】のサッカーでは累積千時間で【気配察知】という【スキル】を得た。
まあ名前のとおり気配が分かる能力だ。
部屋の外に誰がいるのかノックする前になんとなく分かるみたいな。
サッカーは3歳になってからこの1年間、子供用のボールでトレーニングしている。最初は慣れないからかあちこち変な方向に飛ばしてた。今ではだいぶ改善されて、前世よりボールコントロール上手いんじゃね?って思えてきたぞ。
室内でしているのにも理由があって、それはボールと過ごす時間をできるだけ増やすためだ。そのお陰でボールにタッチする感覚を養う事ができた。ボールのコントロール力もだいぶ付いてきたな。
ちなみに先ほども言ったが前世での技術力、タッチ感覚は最低レベルだった。
ドリブルするときも力のコントロールがうまくいかず、ボールが身体から離れ過ぎてカットされる事がよくあった。
キープ力が絶望的になかったのだ。
今思うと自分の下手さに落ち込むなぁー
だけど今はだいぶ感覚が掴めてきた気がする。
ボールは怖くないし、どのくらい力を込めればいいのかわかる。
まぁ、四六時中ボールと一緒に過ごしてるし、、、(苦笑い)
パパンとママンもボールがないと安心できないでしょ、と思い病院にまで持ってくる始末。
ベッドの横に今もあります、俺はボール依存症か!
両親にそこまで思われるくらいずっとボールを足で触っている。
今から続ければ、将来両足を同じレベルで使いこなせるくらいの感覚は身に着ける事ができるだろう。
俺の目標は両利きのストライカーだ。
パスもシュートも両利きででき、そしてフリーキックさえ状況に応じて、左右どちらも使えるとなればゴールキーパー泣かせになるだろう。
まあ、この目標もあり、なんていうか......その...執念レベルでタッチ感覚を磨きました...てへへ。
そのかいあってサッカー累積時間のカウントもどんどんあがった。
プラスアルファでなんと身体操作の累積時間も増えたのだ。
いや、予想外だったよ、、、
多分体で何かを操る事も身体操作を向上させる為に必要な要素だからだ。
【最先端サッカー学】で調べて見たらドンピシャだった。
その結果、サッカーと身体操作の累積時間が両方上がるというファンタスティックな事態に。
ちなみにテコンドーと合気道は週1 回を2時間行っている。目標としては千時間を目安に区切りを付けようとしている。千時間達成すれば何かしら【スキル】が貰えるからだ。
前にも述べたがこの幼年期に様々なスポーツを経験するのは脳の発達にとってポジティブな影響を与える。
だから時間の無駄ではないし、最終的にはサッカー上達に繋がるのだ。
水泳グラブはもう少し多く参加している。週2回の2時間コースだ。また水泳は年齢が上がるごとに時間は短くても頻度を増やしていきたいと考えている。
水泳は骨盤や関節を矯正し、適度な負荷をかけてくれる。それに加えてインナーマッスルと可動域向上に最適だ。
これは確実に効果が実証されており、多くの海外クラブでも行われてる訓練方法だ。
日本でももう少し広まってもいいのにな。
まあ、進化した【スキル】には大満足ですわ!
「うっひょおおー! 最高だー! 神様ありがとーーー!はっはははははは」
もちろん笑いと奇声が止まらない二宮ケイ君は、この後看護師の方からしっかり怒られたのであった。病院は静かにしましょう。
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