第18話 チューリップ





壁沿いに並んだプランターの中ほど


赤いチューリップが凛として咲いている


わたしが一番と誇らしげに




やがて夜が来ても


赤いチューリップは頭の中に咲き続けている





深夜たたきつけるような激しい雨音を聞き


頭の中の赤いチューリップは かき消された






翌朝 通りがかりに並んだプランターを眺める






あぁ~あ チューリップが・・・





激しい雨に打たれて 折れ曲がっている


まるで釣り鐘のように下を向くチューリップ



もう終わりか






春の日差しは 優しく 暖かい





一日が過ぎた昼間 赤いチューリップが



赤いチューリップが なんと なんと



これが生命の凄さか・・・



茎を くねくね くねらせて空を向いている






青空を仰いだ 赤いチューリップが



凛として青空を見つめ咲いている 咲いている









                  了

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