第20話 神殿での騒ぎ もう一人の火焔の瞳の主

数日後 神殿にアジェンダ達は訪れた

フードを被り それとは分からないように

「賑やかですね それになんて立派な建物」アリシア


「本殿は祈りの場だ 埋葬の為の墓所もある

後、癒しに救いが必要な者達の施設も・・


病院 孤児院に 避難民 貧しい老人たちや病人たちが

一時的に住める場所もある」


「後で神官長たちと茶会だ」


「こちらだ 我が姫」「迷わぬように気をつけてください」

「はい アジェンダ様 リュース公様」


突然 神殿の一角が爆発 炎上する


人々が大騒ぎして アリシアは二人とはぐれてしまう


「あ、どうしよう」


後ろの背中に剣の矛先 「静かにしろ ふふ お前が元奴隷娘のアリシアか」


「さて 王は身代金をいくら支払うか

まあ お前はバラバラの死体となる予定だが」


「あ・・」青くなるアリシア


しばらく誘導されるまま 歩くが

隙を見て ドンと突き飛ばし 逃げようとする


「くそう」男はアリシアに切りつける


刃先がアリシアの身体に触れようとする


フードを着た少年が 飛び出して アリシアを庇い

男を一刀両断にする


今度は アリシアの方に向けて弓矢が飛んでくる

「きゃああ」

少年は にっと笑い 矢を叩き落とす

「アリシア姫」「姫」アジェンダとリュース公ヴェントレが走ってやって来る


「あの・・この御方が助けてくれました」



「助かった 感謝する」 「よく守ってくれた 君は?」


「・・そなた!」アジェンダやリュース公が驚き 唖然とする



フードの下 見目麗しい 長い黒髪の少年

そして片眼を布で覆い 片方の瞳はアジェンダと同じ


持ちえないはずの赤い火焔の目


にこりと笑う 

「私はヴァインズ子爵サリューンです

辺境の地の領主 老いた祖父に代わり 王宮に伺う予定でした


この愛らしい姫様がお怪我が無くてよかったです


・・まさか 名高い王様にお会いできるとは光栄です」


にこやかな笑みは どこか艶ぽく美しかった


綺麗な方・・アリシアはそう思った 皆 少し 何故か赤くなる



ヴァインズ子爵 聞いた事がある

確か 反乱分子やならず者達に 屋敷を襲われて

浚われて 売り飛ばされた過去がある それは五年前


20歳前後だと聞くが どうみても15,6歳前後


「ええ、そうですよ リュース公さま

私は二十歳になります


成長を止める薬を飲まされました 

浚われ 少々、見目が良い為 恥ずべき事をさせられてきました 


まあ 無事に家に帰れましたが・・



ああ、すいません 私は母が片眼の黄金の力が使える者でした

その力を受け継ぎ 心が視えるです」一瞬 瞳が黄金色に変わる



「身体も壊しましたから 軍に入る事は出来ません ふふ」


「そなた 本当に辺境地の者か? 瞳といい

その血は まるで濃い純血のような黒の王家の魔力を感じる」


「・・以前 王宮に先祖が使えており

後継者の争いに巻き込まれて 追われた王家の庶子が

我が家の先祖に幾人かおります」


「許されるなら この愛らしい姫の手にキスしても?」


「・・姫は私の大事な妹によく似てます 御会い出来て うれしいです」




「これは・・神の配慮か」

ちらりとアジェンダの様子を見ながら呟くリュース公



そっと手にキスされながら ドキドキするアリシア

そして アジェンダも彼をじっと見てる


アリシア姫は思った 


あの・・いけない御本の世界のよう 

・・・・

・・・・・・素敵な方 これはアジェンダ様の生贄に いやん ドキドキ


何かが何処か間違ってるアリシアである














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