第16話 柱の道


黒の王宮の柱の道を歩く アジェンダ王とリュース公ヴントレ

「雪花が咲く季節がもうすぐだ」 

「そうですねアジェさま」


「・・・・もうすぐ あれから6年が過ぎる

ヴェントレ そなたには本当にすまない事をした」


「アジェ様」


「私がそなたの妹リーヴニア姫を追い詰め

自害に追い込んだ」


「婚約者のアラムと共に・・

私の大事な弟のような存在だった

従弟のアラム」


「アジェ様は 二人の為に神殿に祀り

必ず祈りを捧げてくださいます


それにアジェ様も大事な母君エルテア女王と

私の婚約者で 大事な妹姫シルフイア王女を


あんな 惨い形で亡くしてしまわれた


私はシルフイア姫を守る事が出来なかった」


「ヴェントレ」


「一七〇〇年近く続く 戦乱の時代を終わらせるための

平和条約と人質交換」


「アジェ様の母君の毒殺」


「・・・要件があり 地方へと出かけた時でした

彼女の為に 幾つかの土産を手にして

城へと戻ってみれば 城門に在ったのは


恐怖と悲しみに満ちた シルフイア王女の首でした」


「シューツオンは 姫を汚し その上で

シルフニア王女の首を切り落とした」


「異母兄のシューツオンに 囚われそうになり

私は彼女の亡骸を見捨て 逃げる事しか出来なかった」


「・・・・ヴェントレ」


涙を浮かべるリュース公ヴェントレ


「犠牲となった者達に 生きてる者達が出来るのは

敵(かたき)を討つ事と祈る事のみです」


「・・・そうだな」


「また 時間を見つけて 

名を刻んだ神殿に祈りに行こうと思う」


「私も参ります」


「おや、アリシア姫」 「姫」


「すいません 立ち聞きするつもりはなかったのです

私も茶会の為に 部屋に行く処でした」


ポロポロと泣きだすアリシア姫


「あまりにもお可哀そう・・哀しいです

亡くなれた皆さまもアジェンダ様もヴェントレ様も」


そっとアリシア姫を抱きしめるアジェンダ


「ありがとう姫」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る