月を眺めて過去を振り返る/Wait


月を眺めて過去を振り返る 音もたてずに消えていった夢たち


儚さを美しさと勘違いして 自分に酔いしれることを覚えて行く




いつか誰かに話すのだろうか それとも誰にも話さず持って行くのか


誰も知らない 知る必要のない 知られることのない オレの人生




地球から出ることも出来ず 夜の空気を吸うだけに満足する人間の人生


突き刺すような冷たい空気を 肺一杯に吸い込んで吐き出すだけ




限られた時間の中 走ったり歩いたりを繰り返す 


周りに注意を払う振りをして 本当は見て見ぬ振りをしてやり過ごす




空を見上げて太陽と目が合った気がする 月に慰められている気になってみる


酒に溺れることも 夜の街を歩くことも出来ず ひとり部屋に籠る日々




落ち込むことは何も悪くはない 大袈裟にことを荒立てる人々に気を使うこともない


家を出たら いつか家へ戻るだけ 始まりのあとに 終わりがくればそれだけで上出来さ




面白い人生を期待して外へ出て 色々な人種に出逢っては一喜一憂


最後の一頁は自分で決める それだけは誰にも決めさせない


何度も閉じかけては開いてきた人生のページ




オレを驚かせてくれよ またオレを驚かせてくれよ


喜びや恐怖や悲しみで また喜びや恐怖や悲しみで 驚かせてくれよ




皆が誰かを愛して 誰かが皆に優しくしてくれたら


何度でも諦めたらいい 誰かが手を貸してあげたらいいんだ


だから オレも誰かを愛して 誰かのために何かをしてあげられたら……




月を眺めて過去を振り返る 音もたてずに消えていった夢たち


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