さよならからの脱却/Wait
さよならなんてしたくなかった
天を仰いで助けを求めても 地面に泣き崩れ落ちたって
何も変わりはしない
知り合いに助けを求めても 暇つぶしを探したって
空虚を埋めることなど出来はしない
朝は去り 夜は訪れる
時代が変わり また人と出会うだろう
そのとき再び思い出すのだろう
生きることに意味はなく 死ぬことにもないのならば
何処まで遠くへ飛べばよいだろう
答えなどはなから無く 求めることを愚かと笑うのなら
それは確かな時間稼ぎへと姿を変える
さよならなんてしたくなかった
でもその時は来たんだ
どれだけ好きだったかなんて
誰も知らないし 誰にも教えない
キミはキミの道を歩き
オレはその後姿を見送ってしまった
それだけが余計に悲しかった
キミは一度も振り返らなくて
オレはそれを知りながらも期待していた
凍りついた時間の中 オレは生きることに没頭した
愚かな行為に美徳を見つけ
酔っ払ったまま現実から目を逸らし
誰かがドアを叩く音にも気づかない素振り
長い道のりは航海
オレは海の上 たったひとり
乗組員は全員消えた
流され続ける 海流に乗って
大きな嵐を待っている 海賊になることを夢見て
夢が始まれば それは現実に壊され
大きなものは 小さなものへと形を変え
後悔だけは何度でも先送りする
何かに意味を持たせることも 吐き捨てることも出来る
絶望を選ぶことも 破滅を笑うことも出来る
一度だけだなんて言って 抱きしめることも出来た
でもオレが選んだことは さようなら
それしか出来ないと思っていたんだ
本当は臆病で自分自身をも裏切って生きてきた人生
しかし終わりを選ぶことだけは出来なかった
あれから月日が竜巻のように流れ去り
オレもようやく忘却の意味を理解し始めた
やっとこの台詞をいうことが可能となった
ありがとう
そして
頑張れよ!
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