第5話 その女…月
「お待ち合わせですか?」
俺は
すると、女は
「あー、いいえ」
「何にしますか?」
俺が
「あ、ああ、じゃあ……」
そう言って女は俺の背後にある
「アップルジュース……って、ありますか?」
俺は、腐るものをそんな所に置くわけないだろう、と思いつつ、酒場にやや強引に入ってきたわりには、注文がソフトドリンクだったので
「ああ……ありますけど……あれ? 失礼ですけど、もしかして未成年ですか?」
未成年であったとしても、酒類を出さなければ法律的には問題ないはずなのだが、以前は
正直、俺はどうでもいいと思っていたし、今更となってはなおのこと美樹の意向を守る必要もなかったのだが、それでも
「あー、
女はそう言うと、学生証を出してこちらに向けて来た。
俺は好奇心を
学生証はここからほど近い場所にある大学のもので、名前の
「
女は、俺の
生年月日を見る。一応、計算してみたが確かに
「ありがとうございます」
俺は、そう言って学生証を返した。
女が学生証をバックに戻したタイミングで、木村が外から戻ってきた。
俺はアップルジュースを
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
俺は女に軽く
その時、ラックの
ラックの端の段にはオーディオシステムのプリアンプがあり、俺はその上に美樹の写真が映るデジタルフォトフレームを飾っていたのだが、それを木村が真似をして
ただ、美樹だけが映っている俺のものとは違い、木村のフォトフレームには一年ほど前まで木村の恋人だった、
「おい、これ、いいのか?」
俺は、デジタルフォトフレームを手にとって木村の方に差し出した。
「あ、忘れてた」
「忘れてた、じゃないだろ」
木村は俺からフォトフレーム受け取ると、フレームの横にあるスイッチで電源を落としてからスーツケースに入れた。
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