第22話Ⅰ-22 エルフ?
■バーンのギルド
旅団の件については、もう少し考えてから決めることにしよう。
まずはこのちっこい娘をどうするかだが。
「サリナのお兄さんはどこの旅団に入ってるか知ってるの?」
「赤いところだと思います」
「そうか、じゃあそこに行って聞いてくれば?」
「・・・一緒には?」
「悪いけど、俺は旅団とは係わり合いになりたくないから、一人で行って来て。俺はここで掲示板の情報を見とくからさ」
「・・・わかりました。でも、絶対に居なくならないでくださいね!」
「あぁ、必ずここに居るよ」
「約束ですよ! 絶対約束ですからね!」
「わかった、約束するよ」
サリナは目を離したら俺が消えるかのようにぎりぎりまで後ずさりして、最後は階段を駆け下りて行った。
しかし、南の町まで来る約束しかしてないから、いずれせよここでお別れだろう。
壁際で見つけたギルドの掲示板は凄い盛り上がりを見せていた。
求人は掲示する場所が旅団ごとに大きく分かれている。
どの旅団もほぼ全ての職種を無条件で募集している、条件の絞込みは無いようだ。
戦えなくても荷物運びや食事の用意などといった役割を用意している。
旅団の中でもパーティー単位で募集しているが、そちらは今までと同じように戦士・剣士や魔法士、
俺も橙の魔法戦士?だから、雇ってもらえるかもしれない。
旅団に属さない求人も一つだけあった。
人ではなく獣人で
そもそも、戦士と剣士はどう違うのか?
リッグスに聞いておけば良かった。
仕事の討伐系は魔獣一覧として掲示されている。
沢山ありすぎるので、スマホで写真をコッソリ撮っておく。
普通の仕事も沢山ある、給仕、皿洗い、馬の世話、・・・など等。
賃金は随分高くなっている、1日あたり銀貨1枚前後が相場のようだ。
この町はインフレってやつだな。
仕事も沢山あるが値段も高い。
だが、魔獣退治にこれだけ金を払うと国もお金が足りなくなるんじゃないか?
素朴な疑問が浮かんできた。
いずれにせよ、俺には関係ない話だった。
既にお金はあるし、あまり使い道も無い。
旅団はしばらく入らないから求人も関係ないし・・・
そう思って掲示板を離れようとした時に見つけた!
エルフだ!
いや、たぶんエルフ?
ほっそりして耳が少し長く、真っ白な肌に金髪が肩ぐらいまで掛かっている。
さらに、緑色の帽子を被って弓を背中に担いでいる。
3メートルぐらい離れたところで求人の掲示板を俺と同じように見ていた。
これは間違いないだろう。
性別は微妙だな。
エルフはつるぺったんと言うのが相場だが、この世界がそうとは限らない。
いずれにせよ、男性なら超イケメン、女性ならクールビューティって感じだ。
「ちょっと、さっきから何じろじろみてんのよ!」
-まずい、見すぎたか。だが、声からすると女性のようだ。
「あ、スミマセン。ちょっと見とれてたもので・・」
「みとれ・・、ひょっとして私たちみたいなのを見るのが初めてなの」
「はい、えーっと、エルフの方ですか?」
「ええ、私はハーフだけどね」
-来ました! ハーフエルフ! 実在するんだ!!
「そうですか、綺麗だったんでつい・・・」
「き、綺麗って・・・、ありがとう。でもあんまり見ないほうが良いわよ、感じ悪く取られると喧嘩になるからね」
「わかりました、気をつけます」
俺は軽く頭を下げて、その場から歩き出した。
本当はもっともっとお話したいけど、どう誘って良いかが全然判らん。
彼女居ない暦それはすなわち、俺の人生!!
だが、神は俺を見捨てていなかったようだ。
「あんたも求人を見てたけど、まだ旅団には入ってないの?」
「ええ、今日この町に着いたところなんですよ」
「そう、私はもう少し前から居るけど、旅団に入ってもよっぽどの腕がないと稼ぎにはならないからね」
「それは、どうしてなんですか?」
「会費が高いからさ。毎月の固定会費が銀貨5枚から10枚で旅団からの分け前は懸賞金の0.1%もないのが普通だからね。中心となるパーティーメンバーは自分達で倒した収入があるけど、倒せないヤツはいいように使われて終わりだよ」
-やっぱり荷物もちでは食いっぱぐれる仕組みのようだ。
「そうですか、でも旅団に入らないと縄張りに入れないんでしょ?」
「ああ、ここではそう言う決まりになってるね。だけど・・・」
「だけど?」
「いや、ここでするような話じゃなかったね、忘れておくれ」
「だったら、場所を変えて聞かせてもらえませんか? 少しならお金もあります。何か食べに行きましょうか?」
「へぇ、若いのにちゃんとしてるんだね。いいよ、じゃあギルドから出ようか?」
-人生初ナンパ(?)成功!!
「はい、あっ。連れが一人いるので下で探してからでも良いですか?」
「あぁ、急いでないから別に構わないよ」
-これはあのちびっ娘を速攻で見つけ、まあ見つからなければその時はその時・・・
ハーフエルフのお姉さんと俺は階段で一階に向かった。
サリナは探す必要が無かった。
1階にたどり着いた瞬間にちびっ娘が飛び掛ってきたからだ。
「ウワァーアーン!!」
俺は倒れそうになりながら、号泣するサリナを受け止めた。
もちろん、俺に再会できて嬉しいわけでは無いようだ、どうも面倒な予感が・・・
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