第34話 奇跡を見る、その11~彼女の元へ~
カナタは不思議な感覚に包まれてた。
意識は目の前に集中している。それなのにまるで俯瞰視点から見ているかのような。全てを見通せているかのような感覚。
そしてカナタには少し先で必死に戦う“彼女”の姿がハッキリと見えた。
そこか!今行く!
カナタは目の前の魔物達に切りかかる。
体がこれまで以上に動く。
より最適により無駄がなく、まるで全ての事象をコントロールしているかのような錯覚すら覚える。
ハハッとカナタは笑った。
今なら分かる。俺はどれほどの無茶をしようとしていたんだ。
ここから先は魔物のレベルが先ほどまでとは比べ物にならないほど強くなっていた。
おそらく以前の自分では到底、彼女の元へ辿り着く事は出来なかっただろう。
だが…今なら、今の俺なら出来る。彼女の元へと辿り着ける!
カナタは確信していた。
そして再び不思議な感覚がカナタへ最適なルートを教えてくれた。
こっち、か?
カナタは疑いもせずその通りに進む。先ほどまでとは比べ物にならないスピードでグングンと彼女のいる場所へと近づいている。
カナタは流れるようなスピードで彼女の元に向かっていた、その中でカナタはふと考えていた。
こういう時、なんと言うんだったっけ?
あぁ…そうだ。思い出した。
クスリと不敵な笑顔を浮かべ、カナタは彼女に掛ける最初の言葉を思い浮かべていた。
勇者まであと200メートル。
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