第8話 練りきり

 和菓子続きで恐縮ですが、「練りきり」いってみましょう♪

 いや、なんとなく和菓子屋の前を通ったら、上生菓子が目に入りまして。


 和菓子屋さんのショーウィンドウに四季折々、カラフルでいろんな形のものが並んでいると思います。関西では「こなし」、関東では「練りきり」が主流。白のこしあんのつなぎに小麦粉を使って蒸し上げたのが「こなし」。白こしあんに求肥ぎゅうひや山芋などを混ぜて加熱したものを「練りきり」と呼ぶそうです。京菓子のお店なら関東でも「こなし」を置いているようですね。


 私は東の者ですので、「練りきり」の作り方を紹介します。

 白小豆で作ることもありますが、一般的には手芒豆てぼまめと呼ばれる白インゲン豆を使うことが多いです。白小豆、美味しいのですが希少で高いですしね……。

 白小豆を作ろうと畑に播いたら、本葉が出てきた頃に根切り虫に全滅させられたという苦い思い出が……。



【材料】

手芒豆 450g

重曹  少々

砂糖  250g

白玉粉 7g



 まずは手芒豆を洗います。その豆を、たっぷり沸かしたお湯の中に放り込んで茹でます。この豆の量なら1リットル以上かな。

 お湯が再度煮立ってきたら重曹少々を投入。すぐに火を止めて鍋に蓋をして、10分間蒸らします。これで皮がむきやすくなりますよ♪


 蒸らした豆をザルに取り、水をかけて手早く冷まします。

 冷ました豆をすり鉢に移し、水を加えながら米を研ぐ要領で豆をすり鉢にこすりつけ、皮をむいていきます。皮から中身が出るプチプチっという感覚が手に伝わってきて、なかなか楽しい♪ ただしご自身の指まですらないようにお気をつけくださいね。痛いですよ~。

 むけた皮は水に浮くので、ときどき水を捨てながらきれいに皮を捨てていきます。


 すべての皮を取り除いたら、豆の中身を鍋に入れ、煮崩れるまでひたすら茹でます。新しい豆でも1時間くらいかかるかな。グズグズに煮崩れたら、火を止めて10分間蒸らします。


 大きめのボウルの上に裏ごし器を乗せ、蒸らした豆を流し込みます。上からチョロチョロと水を流しながら、裏ごし器の中の豆をボウルにし落としていきます。水の流れが強すぎると、ボウルに溜まらず全部流れて水の泡になるのでご注意を……。


 すべての豆を漉したら水を止め、沈澱を待ちます。沈澱したら上澄みを捨てて、もう一度水を入れます。あく抜きですね。あくと一緒にインゲン豆独特の強い風味を少し流します。

 再び沈澱したら木綿袋の中に。袋ごと水の入ったボウルに入れ、軽くもみ洗いしたらしっかり絞って水気を切ります。これであんこの元「ご」の完成です。


 ここで元々の豆と同量~1割減の砂糖を加えて加熱しながら練ると「白こしあん」の完成ですが、今回は「練りきり」。

 求肥と白あんを別に作って練り混ぜる方法もありますが、面倒なので私は白玉粉をそのまま混ぜる方法でやっています。


 鍋に「ご」を入れ、砂糖を投入。そこへ少量の水で溶いた白玉粉を入れます。求肥ムラができないように、加熱する前に木ベラで全体をよく混ぜておいてくださいね。

 混ざったら中火~中強火にかけ、焦げないように素早く力強く混ぜ続けます。

 生地がひとつにまとまるようになったら火を止めます。鍋の内側に貼りつけるように伸ばして5分くらい冷まし、粗熱が取れたら鍋からはがします。

 取り出した生地を手で全体的にしっかりと練り混ぜてひとまとめに。すっかり冷めたらもう一度全体を練って水分を均等に。これで「練りきり」生地の完成です。



 さて、練りきりの楽しさはここから♪

 食用色粉や抹茶を混ぜて色づけし、いろいろ組み合わせて粘土細工のように形作りが楽しめます。


 お茶席で使うとなると、季節ごとの決まった形にする必要があるかと思います。しかし、個人で楽しむとしたら好きな形にできますよね。

 私は白こしあんに抹茶を練り込んだ抹茶あんを作り、そいつを白と抹茶を練り込んだ練りきりで包んで鳥っぽい形にするのが好き。ウグイスだかメジロだかわからないものを結構量産します。

 羽はフォークや箸で軽く描いていますが、それ以外はフリーハンドでできるので楽なのです♪

 目のところに黒ごまを使うのですが、これが味にもとってもいいアクセントになってくれるのですよ♪ 丸飲みしちゃうとわかりませんが、あの香ばしさがたまらない!


 結局あんこの塊みたいなものですが、抹茶やココアを練り込んだり、昆布の佃煮や味噌を少量練り込んだり……いろいろバリエーション豊富な味を作れますよ。お試しあれ♪



 なお、小豆で練りきりを作る場合は小豆こしあんの「ご」450g・砂糖275g・白玉粉10gの割合で。「ご」の作り方は「練り羊羹」をご参照くださいませ。

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