越境する異世界語
Fafs F. Sashimi
我が子を喰らうロゴス
サンドイッチでも食べながら
良くあるなろう小説のような目覚めだった。
俺はただただぽかんと突っ立ったまま、頭上を見上げることしか出来なかった。そこは神殿のような場所で、天井には色とりどりの綺麗な模様が描かれていた。
俺は一言も言葉を発することが出来なかった。見覚えのない模様は美術史専攻卒業のしがない(名ばかり)フリーアーティストである俺の脳内の美術様式集に載っていなかったからだ。そもそも目覚めた瞬間、立っているとは一体どういうことだろう。自分が夢遊病では無かったはずだと心のなかに言い聞かせて、自分の記憶を辿ろうとした。
しかし、そうした思索も次の瞬間には止まってしまう。
こつこつと地面を叩く堅い靴底の音が聞こえる。目を向けるとそこには黒いドレスに身を包んだ少女が佇んでいた。建物は広く聖堂のようになっていた。彼女との距離は約3~4メートルは離れている。その蒼色の瞳は不安げに俺をじっと見つめる。髪は青白いウェーブロングで、差し込む日を反射して建物の暗がりに柔らかな光を拡散していた。
彼女は日本語を話すことが出来なかった。何か悪い夢を見ているのではないかと感じて英語で話しかけてみる。はろー、はーわいゆー、あいむ……。少女は必死にコミュニケーションを取ろうとする俺に怪訝な視線を投げかけるだけだった。今度は二外で多少やっていたフランス語で話しかけてみる。ぼんじゅーる、じゅまぺーる、けせくせ、くーでたー……。
彼女は俺の言葉を聞き終わる前に一目散に出口の方へと駆け出していった。彼らとの交流はそれが始まりだった。
最悪の始まりだ。全く言葉が通じない中で彼らは何度も俺を追い出そうとした。しかし、俺は粘って如何にかして助けてもらえるように頼むのを続けた。この建物の外界で誰にどうやって声を掛けたら助けてもらえるのか。建物もそれの外も俺にとってはあまり変わりのない感じに感じた。
彼らも執拗な俺に根負けしたのか、彼らに受け入れてくれることになった。その後に続いていたのはひたすら彼らの文化に見様見真似で習得していくことだった。
始めは彼らをどう呼ぶのかすら分からなかった。日本語で無理やり意思疎通しようとして何度も愛想をつかされた。しかし、彼らの生活を観察するうちにだんだんと単語が分かるようにもなってきた。彼らの前で単語を使うと彼らのうち老人たちは嬉しそうな顔をして、若者たちが興味津々だから俺に彼らの言葉を教え始めた。そういったことが繰り返してまだ少しだけの言葉が話せるようになっていった。
彼らは自らのことをシェルケンと呼んでいる。シェルケンはペヌル・デクテルという自分たちの言葉を大切にしている。彼らのコミュニティの外ではペヌル・デクテルは話されず、ノヴィーレという言葉が話されているようだ。ノヴィーレはノド・デクテルともいうから、恐らくデクテルという言葉は「言語」を表すのだろう。
シェルケンの生活の中ではペヌル・デクテルでお互いに話さなければならない。ノヴィーレと混ぜて話すと凄い形相で怒られる。だが、買い出しとかでディェポイに行くとペヌル・デクテルは全く通じない。生活のためにはノヴィーレを習得することも必要だった。
ペヌル・デクテルとノヴィーレは全く違う言語だ。前者で「望む」はエスプラタエと言うが、後者ではカーシュという言葉を使う。事実、シェルケンのコミュニティの外のディェポイやズュストに行ったときにペヌル・デクテルは全く使われない。シェルケンがデクテルで人を叱るのは彼らのデクテルが少数派であるという厳しい現実があるからなのだろう。
シェルケンたちとの生活が深まるうちに彼らが社会の少数派であり、迫害される者たちであるということが次第に分かってきた。しかし、日々向上するのは買い出しで良く喋るノヴィーレで、寡黙で真面目なシェルケンたちの言葉を学ぶのは難しい課題だった。
ある日、友人のシュタイヤと一緒に買い出しに行くと「ヴェッリウアオをして欲しい」とペヌル・デクテル混じりのノヴィーレで言ってきた。ヴェッリウアオが一体何を表すのか、まさにフィーレシュ・ニヴという感じだったが彼にはいつも良くしてもらっている。お返しになるなら少しくらいの苦労は、と思って俺はそのとき頷いた。
「
「
俺は気が急いてシュタイヤにウィテーイ・ラータと受け取られてもセレスパソンなことを言った。シュタイヤはディシャルヴのアシェートから1.55平方ftaほどのtydivを取り出した。tydivにはjeska'd lertasalのマークがveles skurlavoしてあり、fgir io される kranteo mels 許可 fon シェルケン sietivelsto el デュイン.
Xtaija lkurf ny la lex 心配 feg'tj.
"Merc, deliu misse's デュイン'l tydiest. co's la lex'i tisod niv?"
"Cene niv sjaersse's sietivelst ly. "
"Selene niv mi's fqa io yst ferl. Letixer's narlen stisniel las――"
"Shrlo la lex xale lkurfo'i pusnist"
Xtaija stedel mi'd levuf'i. La lex es vakleno. Mal, si lkurf.
"Menasti! Miss es niv varxlekung ja?"
"Jopp...... Mi il set qune niv cerke pa mi jaes la lex fai meiaqerze'd kante."
"Ej, lecu misse'd qa lar at sietivelst. Hame tisod?"
"Mer, mi's la lex'i tisod knloano'tj feat lasj サンドイッチ."
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