気づいたときには


もう、遅かった


するりと腕の中から離れ


風と共に去っていく


とても、とても、とても


大切で身近な存在だったのに


ゆるりと流れる風のように

頬を撫で去っていく……


いままでは【いる】のが


当たり前に感じていたから

悲しみは計り知れなかった

いや、認めたくはなかった

信じたくなかった


大切な宝物を奪う


風が憎くて仕方がなかった

だから旅に出よう


風に浚われたモノを


奪い返すために


険しい道でも


危険な道でも


構わず進んで


またもう一度


両手で


抱き締めるために……

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