第176話 作戦
色々とあったものの、無事に琉海たちは反乱軍に入ることができた。
これでアンリが監禁されている可能性のある収容所へ案内してもらうことができる。
「それで、収容所へはいつ向かうんだ?」
琉海がレオンスへ聞く。
「その計画はまだ先だ。今はこの町を奪還する計画がある」
「この町を奪還?」
「ああ、ただそれにも支障が出ている。当初の予定なら、明日にでも実行する予定だったが、現在はこの町に〝剣帝〟が滞在している。あれがいる間は身動きが取れない」
「なるほどな」
この町に入るタイミングで琉海たちも遭遇しているから知っている情報だ。
そして、その〝剣帝〟が強いということもリーリアから聞いている。
「それでこれからどうする予定なんだ?」
「〝剣帝〟がこの町を去るのを待つ。あれは相手をしてはならない」
「だけど、どこかでぶつかるだろ」
「それでも、反乱軍では〝帝天十傑〟からは必ず逃げることを徹底している。どんな状況でもだ。君たちも強いが〝帝天十傑〟は規格外だ。奴らには束になっても敵わない。実際に戦場で見たからわかる」
リーリアから話は聞いていたが、それよりも相当強いのだろうか。
「だから、〝剣帝〟がこの町から離れるまでは待機だ。君たちは、さすがにこの廃墟にいる成りをしていない。それはさすがに目立つ」
琉海は自分の姿を見た。
「この裏町に住む者達はみすぼらしい恰好をしている。身ぎれいな者達は皆、表の町で活動してもらっている。君たちも表の町で待機していてくれ」
「ここで待機じゃないのか?」
「いや、目立つ者を近くに置いておけない。明日、表町にある店に行って、そこの店番にこれを見せれば、どういう動きをするかわかる」
レオンスから渡されたのは木彫りの板だった。
ライオンのような姿がその板には掘られていた。
レオンスは懐から羊皮紙を取り出して広げた。
そこには、地図が書かれていた。
ただし、その地図は大陸でもルダマン帝国の地図でもなかった。
「これは?」
「この町の地図だ。この店にその紋章を見せに行けば、作戦が伝えられる。時間は正午だ。その時間を超えないように注意しろ」
「正午?」
「この町では12時になると鐘が鳴る。そこから13時までの間の1時間を10分ごとに計6回鐘が鳴る。6回目の鐘が鳴る前までにこの店で紋章を見せてくれれば、作戦を伝える手筈になっている。もう一度言うが、くれぐれも13時を超えるなよ」
レオンスの再度の忠告に琉海は頷いた。
それから、何個か反乱軍について確認した後、琉海とエアリスとリーリアは地下闘技場のある屋敷を離れた。
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