第163話 町への案内
「ルイ様、この後はどうする予定でしょうか」
マルティアが琉海に聞く。
「ここから一番近いルダマン帝国の町に向かおうと思います」
さっきの戦いでは、兵士から聞くことができなかった。
そのため、その町で情報取集する必要があった。
「そうですか。でしたら、リーリアを案内役として付けます」
「えッ! 師匠、私が案内するのッ!?」
リーリアが驚き、嫌そうな顔をする。
「私が案内をしてもいいのだけれど、そうするとエルフの里にはあなたが行って報告してもらう必要があるのだけれど」
「うッ……わ、わかりました。私がルイたちを町まで案内します」
「じゃあ、お願いね。それと、町まで案内したら、エルフの村にもここの龍脈の泉が汚されたことを伝えてくれる?」
「……はい。わかりました」
マルティアとリーリアのやり取りがひと段落すると、マルティアは琉海に視線を向けた。
「そういうことですので、町までリーリアに案内してもらってください」
「えっと、案内してもらえるのは嬉しいんですが、いいんですか?」
「ええ、町へは私もリーリアも定期的に行っているので、迷うことなく辿り着けますので、急いでいるルイ様たちのお役に立てるかと思います」
森での生活だけでは、様々な生活用品が不足するようで、その都度、近くの町に買い出しに行っていたようだ。
代金は森の中で獲った魔物や薬草などを売って用立てていたそうで、その町までなら案内できるとのことだった。
「ですが、さすがに森の魔女がエルフだったことは周知されている可能性もあるかと思いますよ」
「はい。なので、リーリアにはこれを持たせてあります」
「それは?」
マルティアが見せてくれたのはブレスレットだった。
「これは、姿を変える魔道具です。さすがに、私たちも町に行くときはこれを付けて行きます。エルフは何もしていなくても目立ちますから」
マルティアは実際に使って見せてくれた。
マルティアの姿はそのままだが、特徴的な耳が人間と同じ形になっていた。
「なるほど、これならわからないか」
「はい。ですので、心配いりません。リーリア、ちゃんと町まで案内してくださいね」
「はい」
バレて騒ぎになる心配はなさそうなので、琉海もリーリアに案内してもらうことにした。
「よろしく頼む」
「ふん、任せない」
「話はまとまったみたいね」
「ああ、リーリアに近くの町まで案内してもらって、そこで情報収集だな」
「それじゃあ、行きましょう」
エアリスはそう言ってリーリアに視線を向ける。
どこに向かえばいいの目で聞いているのだろう。
「師匠。では行ってきます」
「しっかり案内とエルフの村への伝達をお願いしますね」
「はい」
マルティアと話し終えると、リーリアは「こっちよ」と言って歩き出した。
琉海たちはその後を付いて行く。
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