ヒスノイズの性

ヒスノイズの性



私のお口に乖離した我侭たち

あなたの喉仏を押し開いた日

彩虹の羽根を居抜き 糖化する


私はまず花束を捧げました

玉石の煮え滾る鉱脈水に

あるはずの陽に横たわる影が

彩りを加えた飴色を頬張る。

えない はなは 

毒を誑かすばかりでなく

息が遮光を拒み 侵して

あまい嘘を吐き戻している

ケダモノに取り込まれる隙を

腫れた秘に 

私は私でいることに築き

紅ひとつも手折れずに

またひとつの襞だけを含味てはいる


栄えし幸福感を 

( これは達観する )

あなたはそしらぬままで

「 あれはなんぞ。 」 


蕊も露わな眼球の虹彩を例えれば

そのうちに、

ボロボロの筋交いを残して

僅かに漏れ出す愛液の

放浪を楚々と撞ける、

何処かへ

飛び去って生きました

( てふてふと )


何でもないよくある庭園に囲われた

眼窟の香炉には、潜むものたちの。

沢山の命をさほど考えもせずに

化け狐に絆されたあばらやにて、

ただの骸ひとつ作り上げたばかりに


透過するばかりの光芒

どの魂も彼方にかえりつく

剥がれかけた天上へと帰依する

冬はまだ眠りにも

憑かせては暮れないもの


天から雪ぐ手水の免責に等しく、

私をひとりにしてはそれもまた

春夏秋冬を彩る坩堝に

花々の理想郷は取り残され

君は首を捥がれ浮いているとも

臥しているとも謂れ、

雛段に飾られてゆき、


試験管の底で薬液につけられた

罪無きメデューサの、

琥珀の微笑みに比べれば

クチナワと錯覚する。

縄梯子の朽ち加減と言えば

もののあわれと諭すべき

緩和され弛緩したのは、

誰の瞳とおよごうとも

解けゆくばかりの残照か

ラボラトリーの彼は誰れ時と

等式のいかれた隙間光とも


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