アンの気持ち

 夕飯の時間、俺とレイは王様達の食事に招待された。

「あっ悠馬さん...」

 食堂の入り口でばったりとアンと出会った。何故だか少し顔が赤い。

「あの、ですね」

 アンにしては珍しく歯切れが悪い。

「どうしたんだ?熱でもあるのか?」

 といい額に手を持っていく。ただ食事を食べるだけなのに熱がある状態で無理をしていたら心配だ。

 するとアンは更に顔を真っ赤にしながら「ごめんなさい!」と言いながらどこかに走り去っていった。

「悠馬お兄さん鈍感なんですねぇ」

 と近くから様子を見ていたレイに言われたが何に対して鈍感なのか心当たりが全くない。



「お姉ちゃんははどうしたんですの?」

 食堂に入るなりそうケイビスに声をかけられる。

「どうしたって言われてもな。体調が悪そうだったから額に手を持っていって熱を測ろうとしたら逃げられた」

「それはまたお兄様は大胆なことをなさいますのね」

「俺、君のお兄様じゃないよ?」

「時期なられるのでしょう?じゃあ今からお呼びしても全く問題はないのではなくて?」

「いやそれはだな...」

 俺がケイビスに反論しようとするとそこにオーガスタ王であるアレンさんが入ってきた。

 集まったメンバーを見るなりアレンさんはこう言う。

「ふむ。やっぱりアンは恥ずかしさで逃げてしまったか」

「どういうことですか?」

「悠馬君そこは想像で補ってやってくれ。私の口からわざわざ説明するのはいくら娘とはいえ可哀想だしね」

 全然俺にはわからないが要するにアンを見つけて直接理由を聞かないといけないらしい。

「そうだね。悠馬君にもっともらしい理由をあげよう。アンだけいないと寂しいから君に見つけてきて欲しいんだけどいいかな?」

 なるほど。てこでも俺とアンを引き合わせてたいらしい。俺はそれに従ってアンを探しにいくことにした。



 アンは意外と簡単に見つかった。

「なんでこんなところにいるんだ?」

 居た場所は城の屋上だ。

「悠馬さんどうしてここがわかったんですか...」

「そりゃお前のことぐらい俺は全部わかってると言いたいところだけど、アンと小さい時から一緒って言う子から聞いたんだよ」

「もう妹はいつもそうなんですよ。私が悩んでる時はこうやって解決させようとして...」

「妹さんのことは後でゆっくり聞きたい。けど今はなんでさっき逃げたのかが気になっててな」

「それは...そうですね。やはり言わないといけないでしょう。お父様に悠馬さんと婚約をしないかと持ちかけられました。勿論、お父様は優しいので私と悠馬さんの意思を尊重してくださるとのことでしたが」

 俺に対する褒美の件だ。

「アンは俺とそういう関係にはなりたくないんだろ?だったら断ってくれたら...」

「違うんです!私は嬉しかったんです。でも苺ちゃんやリタさんそれにレイちゃんの気持ちまで考えたら私は選べないんです...。自分だけが幸せになる道を」

 ああこの子は優しすぎる。思えば俺がアンのこういう優しさに惹かれていたんだなと思う。

「悠馬さんお願いです。もう少し考えさせてくれませんか...」

 涙を目に浮かべながら俺はアンにそうお願いされる。やっぱりその顔はずるい。元から断る気なんてないがますます断れなくなる。



 —————

 すっごい遅くなりました...。すいません。

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