苺と聖女
私は聖女を置いて苺ちゃんの元へ向かう。
「アンさんお兄ちゃんが....」
「事情は外で聞いたよ。催眠魔法らしい」
「じゃあ呼び掛ければ起きるんですね!良かった....」
心底ほっとしたように苺ちゃんが言う。当たり前といえば当たり前だろう。私も同じ状況ならそういう反応をするだろう。
「苺ちゃんはあの聖女さんにちょっと言ってきてくれませんか?」
「聖女さん?」
「そう、彼に恋して色々とやっちゃった今回の主謀犯」
「アンさん!お兄ちゃんは任せます!」
それを言った苺ちゃんは聖女の元へ駆け出した。
私はどうすればよかったんだろう。あんな彼を大事にしている人にああいう言い方しかできない。不器用なんてレベルじゃない。
「結局私はこれで消えちゃうのかな....。まだお兄さんと何もできてないのに」
「貴女、自分勝手すぎない?」
そんな声に私は振り向く。
「貴女は....?」
「私はお兄ちゃんの妹。貴方が催眠魔法をかけた朝霧悠馬のね」
「貴女がそうなんだ」
「そうなんだじゃないでしょ。貴女自分がやったことの代償を何も払ってない。そんなにお兄ちゃんのことが大切ならどうにかすることを考えればいいじゃん」
「でも私が彼に何かをしてあげるなんておこがましいことはできない。私は....」
パーンといい音が何処かから聞こえた。いや何処かではない。これは私の頬からだ。私はお兄さんの妹に頬をビンタされた。
「貴女がそんなことを言って誰がお兄ちゃんを救うの!そんなになよなよする暇があるなら少しでもお兄ちゃんが元に戻れるようにすればいいじゃん!」
「でもどうすれば」
「そんなの自分で考えないと意味ないよ。結論が出たら私達のところに来て」
それだけ伝えて彼女は去っていった。
私はいったいどうすれば彼の力になれるかを考えることにした。
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ちょっと短いですがごめんなさい!
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