04.修行の成果


ちょっとどころではなく、とんでもなく広い場所で、俺とマークとエリサの修行の成果を見せ合うことになった。


アディさんが、おもむろに何か唱え始めている。すると、地面からオーガがぬるっと出てきた。すっごい凶暴な感じ・・・。


「さぁ、一人一人、挑戦してみましょうか」


「アディさん、めちゃめちゃ実践的な成果発表会ですね」


「その方がいいでしょ?」


 めっちゃいい笑顔だ。


 俺とマークとエリサは、絶句していたが、アディさんに促されるまま、オーガとやりあうことになった。

 まずは、俺から。あぁ、この威圧感は・・・たぶん、あの階層のオーガと同じ強さだ。

 唯一違うのは、一目瞭然だがめちゃめちゃ凶暴そう。アディさんが止めているのだろうけど、今にも襲いかかってきそう。


「このオーガは、この前のオーガと同じくらいの強さだけど、見ての通り凶暴性を増してるオーガなの。だから、下手したら殺されると思うから、気を引き締めてね」


 これ、失敗できないやつだな。

 と言うわけで、俺の成果発表の始まりだ。


「準備はいい?」


「おねがいしまーっす」


 アディさんが、オーガの拘束をといたようで、オーガがすごい咆哮のあと襲いかかってきた。

 以前俺なら、すぐに心が折れて諦めてただろうけど、もう違う。なんてったって、剣豪の爺さんの殺気の中で修行していたんだ、この程度の威圧感はどうってことない。

 突っ込んできたオーガを、横に避けて身体強化をかけた状態で蹴りをいれた。オーガが吹っ飛んだが、すぐにこっちに向かってきた、剣を抜いて横にきる。

 相手の動きを見ながら攻撃を全回避して、がら空きの胴を切り裂いた。意外とあっさりと、終わった。

 オーガは、跡形もなく消えてしまた。なんだ、本物ではなかったのか・・・。


 カルディアと、マークが「タケシすごいぞー」「いい動きだったぞー」とかいってる。


「タケシ君、動きがすごく良くなったわ。身体強化も前とは比べ物にならないぐらい良くなってる。あと、何と言っても心が折れなくなったが大きいわね。素晴らしい修行だったみたいね」


「そうですね、頑張りました。カルディアと知り合いの剣豪のおかげです」


「よかった。これなら、次の階層も余裕でいけるわ。さて、じゃぁ次は、エリサいってみましょうか」


「いいわよ」


 エリサが、前に出てきた。頑張れよって言ったら頷いて返してきた。


 ということで、次はエリサの番だ。

 同じように、アディさんがオーガを出した。なんだろう、これは召喚魔法かな?あとで聞いてみよう。


「エリサも気を引き締めてね。いくわよ」


「いつでも」


 エリサの言葉の後にすぐ、オーガが突っ込んできた。エリサは黒い霧のようになり、その場から消えてオーガが突っ込んできたのを避けた。

 キョロキョロしながらオーガがエリサを探している。あいつは、俺らを襲ってこないんだな。どうなんってんだ?

 オーガの後ろに、エリサが出てきた。髪の毛が白くなって、目が赤く光ってる・・・うわぁ、かっこいいそれ。俺もやりたい・・・


「やっぱ、それかっこいい!私もやりたい」 


 また、カルディアと考えてることが一緒でビビった。だから、お前はだめだろ。種族的に自重しろ。


 エリサから黒い靄がでてでかい拳ができて、オーガを殴り飛ばした。

 着地したところに、黒いシミができて、オーガが沈んでいく。

 なにこれ、怖い・・・


「これで、終わり」


「はい、エリサ良くできました」


 と言いながら、アディさんがエリサに抱きついてる。


「ちょっと、アディやめてよ。みんなみてる」


 なにイチャイチャしてるんだよ。エリサももっと真面目にイチャつけよ。ください。そうゆうのください。

 とりあえず、目に焼き付けておく。

 しかし、あのオーガが沈んでく魔法は怖いな。底なし沼のようだ・・・。



「じゃあ、次は、マークね」


 エリサに抱きつきながら、アディさんはマークのために、またオーガを準備をしている。

 同じように、オーガが出てきて、マークの番が始まった。


 マークは、初っ端から魔族化している。そして、突っ込んで来るオーガを避けることもなくぶつかり合った。おお、オーガの突進を止めやがった。

 そして、マークは、頭突きでオーガを吹き飛ばした。ヨロヨロしてるオーガに近づき上に剣を構えたと思うと、そのまま振り下ろしオーガを縦に真っ二つにしてしまった。

 すげーな、あいつ。もともと力持ちキャラだったけど、随分と筋力強化されたなぁ。魔族化の影響もあんのか?

 そもそも、魔族化ってどんな効果があるんだろう。あとで聞いてみよう。


「はい、マークも良くできました、おいで」


 アディさんは、エリサを抱きながらマークに手を広げてる。マークは恥ずかしがって拒否してる。なんてもったいないことを。


 あるぇえ?、俺にそうゆうのなかったような。不平等だな。

 抗議の目線で、じーっとみてると、アディさんが気が付いたみたいで「タケシ君もくる?」っていって、こっちに手を広げている。


「いってきます」


 カルディアにそう言い残して俺が飛び立とうとしたら、カルディアに首根っこを引っ張られて戻された。


「まてまて、タケシは、私だろ」とかいいなが俺の首を腕でホールドしながら、頭をわしゃわしゃ撫でられた。あれ、なんか、ちょっと、ちがうんだけど。こうゆうんじゃなくて、ぎゅって・・・。ま、いいか。これはこれで。

 

 アディエさんもぎゅーして欲しかったみたいで、アディさんとエリサに抱きついた。可愛いな。こっちにもおいで。 




 とりあえず、俺たちは先に進めそうだ。明日からは、連携の訓練をすることになった。


 アディさんの家に戻って、みんなで夕食の準備をして、一緒に食べた。

 今は、アディエさんとスゴロクを作って遊んでる。


 カルディアが書いたスタートへ戻るマスに、なぜか俺は止まりまくって、進むことができない。その度に、カルディアが爆笑してる。なんなんだこいつ。なんかやってるだろう魔法的なの。そっちがその気なら、俺もやるぞこら。

 そして、カルディアも、俺の書いたスタートへ戻るマスに止まり始めて、怒り始めた。


「タケシ、お前、魔法つかってるだろ?見えるぞ、やめろ」


「お前が先に使ったんだろ」


「魔法見えないくせに、言いがかりはよせ」


「なんとなくわかんだよ、隠しても無駄だ」


 軽く喧嘩になりそうになったが、アディエさんが、笑っていたので許してやる。

 そして、その後、スタートに戻るマスを神回避したアディエさんが勝利を納めた。「私も魔法ちょっと使っちゃいました」とかいいって、舌出してる。天使だ・・・魔族の天使様がこちらにいらした。

 

 急に、うりゃーっとかいいながら、カルディアがアディエさんを抱っこして、高い高いしてる。アディエさんが楽しそう。

 カルディア次、俺も、それやりたい。変われ。

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