05.ターンエンドとダンジョンアタック
さて、今日は、カルディアとアディさんの試験の日だ。
アディさんは、ちょっと勉強してきたそうだ。
まじか、カルディアなんて、俺と酒飲んで寝ちまったぞ。一緒にな。
試験会場に二人を送り出して、俺とマークとエリサは、終わるまでギルドで待つことにした。
俺はギルド併設の食堂のカウンターでまったりとコーヒー飲んでラーメン情報紙を読んでる。マークは闇系のスキル練習するといって修練場に行った。こいつも、寡黙だよなぁ。
エリサは、俺の横で自分の魔術用の杖の真っ黒に染まった魔石を見てうっとりしてる。め、目がヤベェ、見ないようにしよう。
あれ、そんな黒かったっけそれ?
今更だが、メンバー5人中3人が闇属性って純白じゃなく、真っ黒じゃねーか。パーティ名変えた方がいいかもなぁ。
流し読みしていたラーメン情報紙で、面白い情報を見つけた。激戦区に味噌ラーメン一門の辛味噌ラーメンの店ができたらしい。
へぇ、味噌ラーメン一門とか言われてんだなぁ。
ほぉ辛味噌か、これはうまそうだな。店主は、アガリさんのお弟子さんらしい。味噌ラーメンの店が増え始めてるのはいいことだ。
今度、みんなで行ってみるか。
さて、午後はどうするかなぁ。Dランクの依頼掲示板をみていると、「旧都ダンジョン探索強化月間、ダンジョン素材の買取5%アップ」というチラシが貼ってあった。王都の近くにある遺跡にダンジョンがあるそうだ。これは興味深い。気になったので受付でダンジョンのことを聞いてた。
現在50階層まで探索が進んでるらしい。Sランクのダンジョン探索専門の冒険者パーティが50階層のボスに挑んでるが、強すぎてまだ突破してないそうだ。
あまりの強さに、ダンジョンボスなのではと噂されている。
ちなみに、30階層まではDランクの冒険者も活躍できるそうだ。あと、5階層毎にボスがいるらしい。40階層から急に敵が強くなりAランクでも火力重視のパーティでないと厳しい状況となるそうだ。
やばそうな場合は、ダンジョンのみで使える緊急脱出アイテムを使って、入り口に帰還できるので、ボスに挑む前は必ず揃えておいた方がいいらしい。
そのアイテムは、ダンジョンのドロップで拾え、またダンジョン出入り口前のギルド支部で売ってるそうだ。
ダンジョンか、面白そうだな。
俺らのパーティなら、いいとこまで行けるんじゃないか?むしろ、カルディアとアディさんなら50階層のボスもいけそうな気がする。
よし、午後はダンジョンの様子を見に行くか。
しばらくして、カルディアとアディさんが帰ってきた。
二人とも難しい顔をしている。
カルディアは「なんの意味があるんだ、あれは。冒険者は力が全てだろうに」と怒り気味にいう。いや、別に力だけじゃねーからな冒険者。
アディさんも「人間界の常識なんてしらないわよ」とかいってる。まぁ、そうですよね。
俺らしばらくDで足踏みかこれは?
ちょうどマークも帰ってきたので、「ちょっとダンジョン行こうぜ」って、みんなに打診してみた。エリサ以外は、好反応だった。
エリサは「魔術が打てればどこでもいいわ」といいながら、ぼうーっと魔石をみてニヤニヤしてる。まじ、大丈夫かこいつ。あの魔法を撃った日ぐらいからか?
アディさんにそれとなく聞いて見たが「そうね、最近変よね。力に魅了されてるのかしら。あとは闇との相性が良すぎたのかも」とのこと。と、とりあえず、警戒しておこう。
ということで、旧都ダンジョンに向かう。
途中に出てきた魔物は、片っ端からエリサが魔術で葬っている。あれ、こいつ、ここまで好戦的だったっけ。
なんか、この前より威力が増してる気がする。そんな魔術撃って大丈夫なの?
カルディアもマークも「すごいぞエリサ」とか言っている。エリサは「私の闇魔術は最強よ、みんな消してあげる」とか言って調子に乗ってるし。
「アディさん、やばくないっすか、エリサ。性格変わってません?」
「そ、そうね。ちょっとまってね、調べてみるから」
アディさんの目が赤く光り、エリサを見ている。かっこいいその目。なにしてんすか!?
「エリサ、いつの間にか闇の精霊の加護がついてるわね。そして、闇の精霊があの子の周りにいて、楽しそうに遊んでるわ」
「そ、それって、いいことなんでしょうか」
「そ、そうね。精霊が彼女を守ってくれるとは思うけど・・・とりあえず、見守りましょう。好戦的になったのは、たぶん急に力を手に入れたから溺れてる感じなだけだと思うわ、慣れれば元にもどるはずよ。きっと」
心配なので、カルディにも聞く。
「なぁ、カルディア、エリサに闇の精霊がついてるらしいんだけどわかる?大丈夫なのかな?」
「ん?あぁ、あの可愛いチビたちか。まぁ、大丈夫だろう精霊は気に入ったものに力を与えて守ってくれる。悪いようにはしないだろう。しかし、あんなに精霊に好かれるなんてすごいな」
よし、とりあえず、この件は、忘れよう。
さぁ、旧都ダンジョンについた。ダンジョン入り口の近くには、ギルド支部と併設の仮設診療所があった。
ギルド支部で、ダンジョンの入場手続きを済ませて、早速入場。
念のため人数分の緊急脱出アイテムを買っておいた。使わなければ、帰りに同額で買い取ってくれるそうだ。
そして、第1層。ダンジョンの入り口に入ると、一瞬で景色が変わった。青空広がる草原だ。空がある。
狭い洞窟を想像していたけども、いい意味で全然違った。そして、すごく魔素が多い。ここなら思いっきり戦えそうだ。
近くに他の冒険者パーティがいてグラスウルフの群と戦ってる。
とりあえず、草原をまっすぐ進むことにする。出てくる魔物は、グラスウルフとスライムぐらいだ。
エリサが楽しそうにどんどん倒して行く。す、すごいなこいつ、魔力どうなってんだ?
アディさんの魔力は全く使われてないそうだ。闇の精霊さんおそるべし。
ちなみに、ドロップ品は魔石ばっかりだった。倒された魔物は魔石を残して消えてしまう。まさにテンプレのダンジョンだな。
ただ真っ直ぐ進んできたが、次の階層へ降りる階段を見つけることができた。エリサがまだ戦いたいそうなので、とりあえず降りてみる。
第2層。景色は、変わらず草原だ。と、こんな感じで、第5層まで殆ど直線で来れた。敵もエリサが一瞬で消し去ってしまった。
気がつけば、5階層のボス部屋前まで来てしまった。ちょっと見て帰るつもりだったのに・・・。
せっかくだから挑もう。ダメそうなら速攻で脱出だ。まぁ、カルディアもアディさんもいるんで、ダメってことはないだろう。
ボスは・・・ちょっと強そうなオークだった。あれなら、エリサの魔術でいけそうな気がすると思っていると、私にやらせてと、エリサが魔術で一撃で倒してしまった。
オークを倒すと奥の扉が開き、下の階層に向かう階段か、出口を選べた。
今日は様子見なので、出口を選んだ。外は夕方ぐらいだった。そのまま王都に戻る。
全然問題なく行けそうなので、明日から本格的に攻略して行くことに。中で野宿できる準備も整えなければ。
夕食は激戦区に行って、辛味噌ラーメンをみんなで食べた。予想以上に辛かったが、うまかった。
エリサとカルディアは、辛いのだめらしく、あまり辛くないのを頼んでいた。
アディさんは大変気に入ったようで、とんでもなく絶賛していた。
帰り道、アディさんにすごい感謝された。
「タケシ君、辛味噌ラーメンは素晴らしい。あの食べ物は革命だわ。魔族にとって、食事は趣味程度なんだけど、ほとんどの魔族が、あの辛味噌ラーメンを食べたら頻繁に食べにくるようになるわ」
「そ、そうですか、喜んでいただけて良かったです。あの店の関係者に魔界店を打診しておきますね」
「ぜひ、お願い。今度、弟と妹も食べに連れてくわ。大丈夫、絶対問題は起こさないから」
「えぇ、是非食べさせてあげてください」
「やっぱり、人間界って面白いのね。来て良かった」
アディさんが、めずらしく目に見えて上機嫌だ。そして、そのまま魔界に帰っていった。
マークとエリサとは、途中で別れ、そして、俺はカルディアとともに、スーパー宿に戻る。カルディアの部屋をとっていることを伝え、そこへカルディアを案内する。といっても隣の部屋だが。
いやぁ、疲れたなぁ。俺が部屋でのんびりしていると、部屋のドアがあいて、カルディアが入って来た。
あるぇ!?鍵かけたはずだけど・・・あいつ魔法をつかったな、せめてノックして。
「風呂行こうタケシ!」
「お、おう。次からはノックしてくれ」
カルディアと風呂に向かう。といっても、風呂自体は別なんだが。出たらまた食堂でエールを飲むぞとのことだ。
いつものようにカルディアは長風呂なので、飲んで待つことに。今日は、唐揚げ買って来てないから、食堂でエールとツマミで干し肉とチーズのようなものを買って、つまみながらカルディアを待つ。
しばらくして、カルディアが出て来たので、追加のエールとつまみをもらってきて、カルディアに渡し、乾杯した。
そういえば、前に聞こうとして忘れていたんだけど、アディさんが言っていた、「悪魔」と「古い血」の話を聞いてみた。
悪魔は、時折現れて災いを振りまくクソ野郎らしい。そして、そいつら悪魔を崇拝している者たちが魔族の中に一定数いるそうだ。
魔王が勇者と和解して平和が訪れたというのに、一部の反魔王派の魔族が悪魔と契約して、エルフの里の1つである世界樹の森を襲撃し始めたそうだ。
その戦いは長く続き、魔族側の首謀者が討ち取られて落ち着いたそうだ。だが、またいつ悪魔がなにか仕掛けてくるかわからないから、安心はできないとのこと。
古い血っていうのは、世界樹の森で暮らしているエルフたちのことを魔族たちがそう呼ぶそうだ。何が古いのかは、わからないそうだ。それこそ、アディに聞けとのことだ。
ちなみに、カルディアは世界樹の森で暮らしていたそうだ。そして、魔族の襲撃が終わってから、もともとなりたかった冒険者を目指すために里を出たそうだ。
さらっと、カルディアは教えてくれたが、大変なことがあったんだなぁと思う。
他にも、どうでもいい話をして、カルディアが眠そうになったので切り上げて、お互いの部屋に帰って寝ることに。
「おやすみ」
「おやすみー」
別れて、ベッドに倒れこむように寝る、久しぶりに一人でベッドでゆっくり寝れた。
寂しくなんてない!
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