08.至高の味噌ラーメン完成
数日がたちました。
至高の味噌ラーメン作りですが、とんでもなくうまいスープが出来上がりました。
アガリさんすげーよ。焦がし味噌とオーク骨の出汁を混ぜたスープは絶品だ。
監修役の俺は「うまい」しかいってない。役にたったことといえば、オークを討伐してきたぐらい。しかし、ものの2、3日で、至高のスープを作り上げちまうなんて、あんた天才だ。
あとは、麺だ。麺がなかなか決まらない。最高のスープにあう麺。
この前契約した麺屋の麺は、だめだった。とりあえず、頭をさげて違約金を積んで契約を切りってきた。
このままだと、アガリさんは自分で麺を作り始めてしまう。自家製麺自体はいいが、何かに取り憑かれたように麺をつくる修行にでようとしたので、全力で止めた。
とりあえず、俺が市場で探すことになった。
次の日も、その次の日も、麺は決まらなかった。
バイトの面接日も麺は決まらなかった。スープの匂いにつられて入ってきたそうだ。猫の獣人の女の子のチロさんだ。
バイトの採用決定した日も麺は決まらなかった。チロさんしか応募がなかったけど、チロさんがすごくいい子だったの即採用。
俺がチロさんにフロアの立ち方と、レジのやり方などの基本オペを教えている日々も麺は決まらなかった。
マークが、スキルを教えてくれと突撃してきた日も麺は決まらなかった。マークには、気合いだ気合いといっておいた。
マークが、スキルを物にした日も麺は決まらなかった。マーク、お前センス良すぎ。
あっという間に1週間ぐらいたったが、まだ麺は決まらなかった
アガリさんは、ひたすらスープを磨き、俺が探してきた麺を茹で、俺とチロさんに出す。
うまいんだが、スープを活かしきれてない。
妥協して、この麺かなってとこまではきた。中太麺だ。
でも、この中太麺でも、スープが麺に絡まない。どうしたらいい。
ん?そうか!絡まないのは縮れてないからだ!
たしか、ドーソンの街の月の満腹亭で出たラーメンの麺は縮れていた。
どうやら、品質のいい麺は、まっすぐという概念があるようだ。
そのため、王都で手に入る麺は、みんなストレート麺。王都のラーメン屋もみんなストレート麺。悪くないが、味噌ラーメンとしてはだめだ。
アガリさん、見つけましたよ!
そして、王都の製麺屋を周り、わざと縮れ麺を作ってくれる店を探す。
あった。今にも潰れそうな製麺屋だけが、俺たちの話を聞いてくれた。
「そんな物つくっても売れないぞ」というおじさんを根気強く説得して、縮れ麺をつくってもらうことになった。
ストレート麺をつくる機械が主流になっているが、昔は縮れためんも作っていたそうで、設備がまだのこってるようだ。急いで、設備を使えるようにメンテナンスする。おじさんと一緒におれも手伝って、翌日やっと動かせるようになる。
そして、粉だらけになりながら、やっと縮れ麺ができた。
これだ、これならいける。
そこのおじさんもつれて、店に戻り、連日のラーメン作りで燃えかすのようになっていたアガリさんに渡す。
俺の意図が伝わったようで、アガリさんも、残る力を振り絞り真剣に作りはじめる。
製麺屋のおじさんとチロさんは、ただその様子を見守る。
そして、できたラーメンを全員で食べる。
俺とアガリさんが同時にいう。
「「これだ」」
製麺屋のおじさんもチロさんも、あまりの美味しさに黙々と食べている。
この麺はいける!この麺で、おじさんの店も巻き返そうだ。
これから、おじさんの麺を定期的に仕入れられるように即契約する。
これで、オープンまで問題はなくなった。
あとは、適当に内装を仕上げて、ビラ作って配って。
あ、そうだ。ラーメンマップを作ってるとこに、出店知らせをしてこよう。
忙しくなるぞ!
ということで、ラーメンマップを作っている場所に俺はむかった。
王都の東の端っこの方ににある印刷所っぽい場所。大きめな建物の中に大きな機械があった、これが印刷機か。
出来上がっている印刷物をみるとガリ版印刷の仕組みのようだ。きっと勇者的な何かが働いて再現されてものだろう。
印刷機のそばにいた人にラーメンマップの件でお話がありますと伝えると、上の階ににいって来れといわれて、とりあえず2階に向かう。
事務の人がいたので、伝えると会議室に通される。
しばらくして、かっこいい感じの綺麗なお姉さんがきた。
「あなたが、ラーメンマップについて、話があるという人かしら?私は、リン。中央区情報紙の責任者をしています」
「は、はじめまして、タケシです。このたび味噌ラーメン屋を開くことになりまして挨拶にまいりました、おいそがーー」
おれが喋ってる最中にリンさんが話を割った。
「味噌ラーメンですって?このへんじゃぁ聞かないわね。」
「は、はい。私の仲間が勇者が残したレシピを再現しまして、味噌ラーメンを提供する店をつくっております」
「勇者様関連ですって、いいじゃない!いいじゃない!ぜひ食べたいわ。もう食べれるのかしら?今からいってもいいかしら?場所はどこなの?」
すごい食いつきだ。
俺のラーメンマップを開いて、この辺ですと指差して見せようとしたら、マップを奪われる。
「な、なによこれ」
リンさん震えてる。
え、なんかやらかしたか俺?
「これ、あなたが書いたの?」
リンさんは、俺の書いた評価と味のジャンルと、味の感想を指さしている。
「これ、すごいじゃない。このアイデアはなかったわ。これは売れる。ね、このアイデア私にも使わせてくれない?大丈夫、ちゃんとお金も払うから」
「あ、どうぞ。いいですよ」
「ほんといいの?やったーありがとう。これで情報紙の売り上げが回復できるわ!あなた最高」
ほっぺにキスされた。急にきたから心臓ばくばく、しばらく放心状態。
そんなキッスなんてされたら、惚れてしまうやろーーーー。
つ、ついに俺にベタ惚れのヒロイン登場か。
リンさん、すらっとしてて大人の女性だけど、喜んだ顔はすごくかわいいくて、ってあれ?
我に帰ると、すでにリンさんは、いなかった。
事務の方曰く、激戦区のラーメンマップを改定作業を始めたそうだ。
あれ、味噌ラーメンくいくんじゃ?イチャラブ展開は?
奥の方で、リンさんが「ごめーん。こんど取材に行かせて!その時にぜひ食べさえていただけると嬉しいわ!」
こいつ・・・ノリでキ、キッスしやがったのか!俺の純情をもて遊びやがって、ちくしょぉおぉぉ。
泣きながら逃げ帰る。
とりあえず、店に顔だして、早く風呂入って、エール飲んでねよっと。
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