第2章 駆け出し冒険者編
01.ドーソンの街
今俺は、森の中を走っている。修行ではない。旅だ。
魔法で身体能力を強化して小走りで道なりに進む。
途中で、カルディアの従属ドラゴンがいて、嬉しそうによってきた。
しばらくじゃれあって、またなって別れた。結構寂しいものがある。
そして、しばらく何もなく、たまに魔物がでてくるが、とくに難なく切り抜けられる自分がいて、しみじみ、成長したなぁと実感した。
そして、道なりに進むと森が終わり、草原に入った。だが、街のようなものは、全く見つからない。
とりあえず、愚直に道なりにすすむ。まだまだ、なにも見えない。ただただ、道が続いていくだけだ。
日が暮れはじめたので、この辺で野宿することにした。
リュックから、卵とベーコンとパン、調味料類、そして小さなフライパンとナイフと魔石を取り出した。
近くにある石を拾い簡易かまどをつくり、魔石を真ん中におく。
魔法で魔石に火をつけた。そうすると、魔石が火を維持し燃え続けてくれる。
火ができたので、フライパンを置いて、ベーコンをカリッとなるまで焼く。
ジュージューいい音がなってきた。
そして、卵を落としてしばらく焼いて、半熟の状態で、塩と胡椒をかけ、ナイフでパンの上に乗っけて、サンドイッチにすれば出来上がり。
出来てすぐ、一口かじる。とろっと半熟の黄身が、ベーコンに絡んですごくうまい。
すぐに食べ終え、幸せな気分のうちに後片付けをすまし、マントに包まる。
火はつけたままだ。たまに、パチっと魔石が弾ける音がする。
ぼーっと火を見ていたら、いつのまにか寝ていた。
本来なら、魔物がでる草原で寝るのは自殺行為なのだろうが、カルディアからもらった簡易結界の水晶に、自分の魔力をいれておいたので、外敵が寄ってこない。おかげで、安全に寝れるというわけだ。
カルディアさまさまだな。
翌朝、何事もなく起きる。
魔石は完全に燃え尽きてしまっていた。勿体無いことをしたな・・・
そして、朝食をちゃちゃっと作り食べ、後片付けをして、出発する。
今日こそ街に着くぞと意気込む。
しばらく道を、身体強化して小走りで進む。
丘を超えたところで、やっと街のようなもの、建物が見えた。
ついに街をみつけた。速度をあげて、街に向かう。
だいぶ近づいたので身体強化を解き、歩いて街の入り口まで向かう。
入り口は、人の列ができていた。
どうやら、街にはいるためには、手続きがいるようだ。
とりあえず、何も考えず最後尾に並ぶ。
しばらくして、俺の後ろに行商人と思われるおじさんが並んだ。
おじさんは、一息つくと、ごく自然に、俺に話しかけてきた。
「はじめまして、私は行商人をしているルルドともうします。ドーソンの街へくるのは、久しぶりなんですよ」
「そ、そうなんですか。は、はじめまして私は、タケシといいます。旅人です、私は田舎からきたもので、この街は初めてです。」
すげー気安く話しかけてきたなルルド。この街はドーソンっていうのか。
「この街は、領主様が素晴らしい方で、街の発展に注力していて冒険者への依頼も多く、私のような行商が露店を開くことにも寛容ないい街なんですよ」
「それは素晴らしいですね。」
冒険者だと?そういえばカルディアは、冒険者になりたいとかいっていたな。どうやってなるんだろうか。
「ルルドさん、教えていただきたいのですが、冒険者というものには、どうやったらなれるのでしょうか。変なこと聞いていたらすみません、田舎者でして」
「いえいえ、変なことではありませんよ、私も田舎からでてきたときは右も左もわからなかったものです。あの頃はーー」
と、昔話が延々続き、最後に
「あ、冒険者の話でしたね。すみません、退屈な話をしてしまって。冒険者ギルドに登録すれば、すぐに冒険者になれますよ」
めっちゃ簡単に冒険者になれるじゃねーか!
とりあえず、登録してみよう。
「ありがとうございます。では、せっかくなので登録してみようとおもいます。」
「おお、そうですか、では、ポーションなどで御入用でしたら、是非お声がけください、中央通りの市場に露店をだしておりますので!」
「その時はよろしくお願いします。」
そして、入場の列が俺の番になった。
手続きは、変な水晶をさわったのと、ここにきた理由、旅人で冒険者になりにきたと伝えると問題なく終わった。入場料として10銅貨ぐらいはらった。ここの冒険者ギルドでギルドカードを作ると、次回からは入場料はとられないらしい。
さて、ルルドと別れて、街に入る。大きな街だ。
とりあえず、冒険者ギルドを探す。入り口の側とのことだったが・・・。
あぁ、あったあった。クロスした二本の剣と後に盾のマーク。ここがそうだ。
これ、入場手続きの時、係の人に訊かなかったら武器屋と思ってしばらくたどり着かなかっな。
そして、そのまま中に入る。
中に入ると、まさにテンプレ的な感じ。
受付に綺麗なおねーさんがいて、併設された酒場兼食堂のようなところでは、明らかに荒くれ者っぽい人たちがいる。ただ、世紀末感はない。
そして、おいおい何しにきたんだ的に絡んでくる奴はいない。みんな俺に無関心だ。
と、とりあえず、受付に行こう。
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