第6話 魂の根源。

「ああ。シルヴァは魔ギアロイドとして覚醒したんだね」


 フニウ?


「まあね。これ、あんまり戦い向きじゃなさそうだしね? 俺が出てきた方が話が早いしさ」


 これ? ってなにそれ!


「ってなに? あんたさっきの魔・ギアなの?」


 そういえば左手にあったはずのガントレットが無くなってる。


 あの銀色の手甲がこんなんになったってこと?


「まあそう言うこと」と、シルヴァ。


 なんだか妙に偉そう?


 もう。ボクこの人やっぱりあんまり好きになれない!


「セリーヌ。そんな顔しないでさ」


 ふわふわとボクのすぐ耳元まで来たフニウ。


 やっぱりこの子のもふもふはかわいいし憎めないけど。


「シルヴァはさ、自身のギアを核に君のマナを纏って人化した、魔ギアロイドって存在になったのさ。普通だと武器や防具に進化する事が多いんだけどね? まあ言わば君の分身だよ?」


 ボクの、マナ?


「人は誰でも心の核、レイスを持ってる。っていうかレイスがその人の本体って言うべきかな? 円環より産まれいずるレイス。それが人の心に宿る事で人は人足りうるのさ。そしてね、そのレイスを構成するのが魂の根源、真那マナなんだよ」


 根源……。


「そして真那はこの世界の根源でもあるんだけどね。これ以上は難しいかな? あ、そうそう。レイスにはマナをチカラに変えるための出口みたいなものがあってね。そこで変換された力のことを魔力とか魔法マギアとか呼ぶんだけどね。まあこれ基礎知識? ってやつ?」


 あ、でも、そうしたら……。


「ねえ、さっきボクの名前、セリーヌ・マギレイスって言ったよね? なんだか今の説明だと……」


「ああ、よく気がついたね。マギレイスっていうのはね、偉大なるレイスを持った大賢者マギって意味があるのさ。君の事だよ?」


 え? なにそれ?


「まあもちろん最初っから大賢者やれなんて言わないけどさ。聖女くらいからはじめてみようか? できるはずだから」


 えーー?


 なんなのほんとこのゲーム。ちょっとバランスがおかしいんじゃない?


 はじめたばっかりのボクが聖女?


 そんなの無理無理。


 ってもういいや。ログアウトする!


 つきあってらんないよ。





 って。ログアウトってどうするの?


 何か操作画面、とか、ないのかな……。




「ねえ、フニウ。ボクそろそろログアウトしたいんだけど、どうすればいいのかな?」


 もう背に腹はかえられない。ナビゲーターだっていうんだからこういうヘルプも教えてくれるよね?





 と、そう思ってたボクがバカでした。


「ログアウト? なにそれ?」


 フニウは可愛い顔してちょっと小首を傾げ、そうのたまったのだった。

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