外面のいい幼馴染みに、いいように使われた、だから俺は彼女よりもいい女と付き合う事にする。そして出会った女子は秘密でモデル活動をしていた隠れ美少女だった?
第75話 ちょっと待って、じゃあもしかしたら義理の姉になるって事?
第75話 ちょっと待って、じゃあもしかしたら義理の姉になるって事?
「誰が芸能人じゃ!」
そう言って図々しくも私の頭を手のひらで叩く金髪眼鏡。
「気休く触らないで!」
「何よ剥きになって、あらでもあんた結構可愛いねえ、あいつの妹とは思えない」
そう言って今度は私の頭を撫で回す。
「や、止めてって言ってるの! あんた一体なんなのよ?!」
「私? 私はさっきそこでわんわん泣いてた子の姉よ」
「…………は?」
そう言うとそいつは立ち上がり、お兄ちゃん達の居た後ろの席から伝票を手にして、私の正面の席に座り直す。
「全く明日菜ちゃんには困ったもんだよねえ、ああ見えて感情のまま行動する癖があるからなあ、本当はもっと隠さないとね、貴女の様に」
金髪姉は、ニッコリ笑っていつの間にか自分の席から持ってきたであろう紅茶を一口啜る。
「私の何が、わかるって言うのよ!」
「え~~、まあ、私と同じって事くらい?」
「あんたと、同じ?」
「そう、お兄ちゃん大好き過ぎるだろってくらい?」
「は?! そ、そんな事!」
「無いの? 後までつけて、しかも応援迄しちゃって、そして別の子とお兄ちゃんを、幼なじみの子と、くっつけようとしてたんじゃないの? 大好き過ぎるだろ うける~~」
「……な、なぜそれを」
「あははは、やっぱりか」
「ひ 引っかけ……」
しまった……私とした事が! 相手の手中に嵌まっている……誘導尋問に見事引っ掛かっている。
私を……なんだこいつ……本当に何者?
見分けがつかない程の本物同然の銃を向けても怯む事もなく、しかもそれをあっさり奪い取り、銃に関して私と同じくらいの知識を持っていた。
完全に私からマウントを取った状態からの誘導尋問……まさか……全て計算?
「私もねえ、妹大好き過ぎてねえ、貴女同様に結構関与しちゃった。でもようやくこれでスタート地点に立たせられたかなあ、後は本当にあの子次第よねえ」
「ど、どういう……事?」
「え? ああ、今日わざと泣かせて、そして逃げ出させたの、出かける時に仕掛けてね」
「仕掛ける時? わざと?」
「ふふふ、そうよ、思い出しちゃったんだろうねえ、目線をね、初めての時の事、涼君の目を見て」
「お兄ちゃんの……目? 一体何を言ってるの?」
ああもう、ムカつく、こういうのって私の役じゃないの? 神目線で俯瞰している様な、全てを悟って誘導するって役は私じゃないの?……まるでこいつは……神様の上、海○様の様な……って……そうか……こいつか……私の作戦が上手くいかなかった原因は!
「最後の一押しを貴女がしてくれて助かったわ、私が言ったら彼は色々と疑っちゃうからねえ、頭がいい人は困るよね、貴女の様にね」
そう、言ってウインクする金髪芸能人女……。
「全部……貴女の作戦って事?」
「そうよ、妹の王子様だからね彼は、まあ、本当はじっくりと彼を見極めてからにしようと思ったんだけど」
「そんな……」
「妹から話を聞いてね、彼の幼なじみの事や、貴女の存在から何かしらあるかなって、だからちょっと急いじゃった。まあ、涼君はともかく、妹を本気にさせるのが一番苦労したけどねえ」
少し疲れた様な表情で力無く笑う。
「ま、まだよ、まだどうなるか!」
「そうねえ、でも……少なくとも貴女の作戦は失敗だよね、何をしたか詳しくは知らないけど、でももう……涼君は明日菜しか見えてない、今から何をしても二人が盛り上がるテイストにしかならないわよ?」
「……くっ」
確かに詰んでいる……しかもとどめは私が……私自らスイッチを押してしまった。
雪乃さんに合わす顔が無い……いや、でもまだ……お兄ちゃんは天才なのだ、あんな内気な性格で、お兄ちゃんと付き合ったとして、自己嫌悪に陥る可能性も……。
「ふふふ、貴女結構顔に出るわねえ、わかりやすくて助かるわ~~」
「え?」
「私ね、芸能人ではないけど、それなりに似た様な海千山千の世界で仕事しているの、だからねえ、相手の考えや裏を読むのが癖になっちゃってねえ
本当、難儀よねえ……素直な明日菜ちゃんが羨ましい」
「わ、私が……何を……」
何で私が怯えてるの? 何から何まで読まれている様なこの感じ、この感覚は何?
「ええ? そんなの簡単よ、お兄ちゃんとうちの妹が釣り合うわけが無いとか考えてるでしょ?」
「……く!」
「あはははは、やっぱりねえ」
今まで無かった……こんな屈辱的な扱いなんて、された事は無い。
なんなのよなんなのよ! 一体こいつはなんなのよ!
腹立つ腹立つ腹立つ!
「ほらほらまた顔に出てる、そんなに怒んないでよ~~将来私の妹になるかも知れないんだからあ」
「……は?」
「明日菜ちゃんと涼君が結婚したら貴女と私は義理の姉妹になるのよ~~」
「えええ!」
そうか……そうだった……最悪だ……お兄ちゃんの幸せを考えて雪乃さんじゃなくてもって思った……けど……。
こいつは嫌だ、こいつが居たら……私の安息の地計画が……私のホームが、家族ががが。
「潰してやる……絶対お兄ちゃんとなんて付き合わせてやらないんだから!」
私はそう言って席を立ち店を出ようとすると、後ろから金髪女が声をかけてくる。
「私が払うなら御馳走様は?」
「くくく!」
私は踵を返して席に戻ると一々確認するのが面倒なので伝票を全部手にする。
「あら奢ってくれるの? 御馳走様~~」
「ううう、覚えてろ!」
「あ、ほら忘れ物」
そう言って立ち去ろうとする私に、金髪芸能人マジでムカつく女は、笑顔でガバメントのマガジンを投げ返して来る。
それを受けとると一度思い切り睨みつけ、何も言わずにドカドカとレジ迄歩き、釣りは要らないとお金を多目に払うと、飛び出す様に店を出た。
「ちくしょう~~~!」
あの二人……絶対に付き合わせない! 絶対に結婚なんてさせないんだからね!
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