第47話 二人のストーカー
うっわああ……お兄ちゃんなんか不安な顔してるし……。
池袋、イケフクロウの前で何やら怪しい動きで辺りを見回したりスマホを見たりと落ち着かない人が一人いる……うちのお兄ちゃんだった。
そして……なんか私の直ぐ側にゴスロリ女が……。
池袋ってこんな町なの?
微妙に近くて逆に来なかったけど……何やらそれ系の……いわゆるお兄ちゃんの仲間っぽい匂いがする人達が……。
お兄ちゃん……昔は可愛かったのになあ……どっぷりとこういう世界に浸ってしまって……いとかなしい……。
そして、なんかゴスロリ女もイケフクロウの方を監視している様で……なんだこいつ?
ゴスロリ女の格好は、胸は網目状に紐で結ばれ肩や裾にはフリル、頭には赤と黒の小さなシルクハット? を被り、スカートも黒のフリフリ、そこからすらりと伸びる足には白いニーハイ履かれ、さらには厚底ブーツ履いている。
しかし、こういう人って……もっと堂々としてるんじゃない? 我が道を行くって言うか……ポリシーって言うか……でも……なんかこの人、恥ずかしそうなんだよねえ……見てるこっちも恥ずかしくなって来る様な……そんな態度で……。
「それにしても……綺麗な人だなあ……」
なんだろう……お人形さんの様な……それでいて可愛さが滲み出てくる様な……そんな印象……もしこの人がお兄ちゃんの彼女ならって思っちゃうくらい可愛い……まあ、でもゴスロリ娘が義理の姉とか無いかなあ……。
あ、ちなみに私は目立たない格好だよ? 黒のサングラスに黒のネクタイ、黒のスーツ姿……やっぱり秘密調査と言ったらこの格好だよねえ、M○Bのテッ○·ト○プソン素敵~~♡
私はホルスターのコルトガバメントをスーツの上から触ってそこにあるのを確認しながら、お兄ちゃんを監視していると……お兄ちゃんにツカツカと近付く金髪のギャルが……。
金髪なんて向こうじゃ珍しくも無いんだけど、やはりここ日本では異質、物凄く目立つのでこの距離でもついつい目が行ってしまう。
それにしても……隣のゴスロリといい、あの金髪といい、何? 池袋ってこういう異質な美女が多いの? と、特異点の様な存在を真剣に考えながら金髪ギャルを見ていると…………!
「ええええええええええ!」
私はついつい大声を出してしまった。
慌てて口を抑え辺りを見回すと、私の声に驚いたゴスロリ女がこっちを凝視していた。
私は軽く会釈をすると、向こうは真っ赤な顔になりながら、軽く会釈を返す。
何? この可愛い生き物……って今はそれ所ではない……私は再びお兄ちゃんと金髪女に目線を戻す。
「──マジか……」
やはり間違いない、ナンパとかはでは勿論ない。宗教の勧誘とか、貴方の幸せを願わしてください、なんて怪しい勧誘は捨てきれないけど……でもあの感じ、あの二人の感じは……間違いなく知り合い……つまりは……ええええええ!
お兄ちゃんの相手って……神って……あのギャルの事?
まずい……これは非常にまずい事態だ。
私は思わずコルトガバメントを引き抜きそうになるのを抑えた。
「やっぱり……騙されている?」
こんな所で発砲するのはさすがまずい……いくら私がM○B日本支部担当でも……。
でも……彼女と話すお兄ちゃんの姿を見るに、どうも付き合っている感じはしない……。
やっぱりゆすりたかりの類いなのか?
私は何度も肩からかけられたホルスターからコルトガバメントを抜きたくなる衝動に駆られる。
でも……まだだ、まだ相棒を引き抜くタイミングではない……私は自分を抑え調査を続けようとお兄ちゃんと金髪ギャルを注意深く観察していると、ギャルはお兄ちゃんの腕を持った後、自分の胸を、押し付ける様にお兄ちゃんの腕にしがみついた。
私が再び声をあげそうになるが、今度はなんとか堪えると、私の代わりの様に隣のゴスロリ女が「ひうっ!」と奇声をあげた……。
え? まさか……このゴスロリ女も……二人を監視している?
【後書き】
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