星音堂
◇星音堂について
昭和六十二年に建てられ、県内で唯一パイプオルガンを有する音楽ホールとして話題を集める。
特に自慢なのは、千人を収容できる大ホール。壁面は九谷焼の陶器で覆われ、床材は桜。日本で五本の指に入る残響時間を誇る。
残響時間とは、音の響きが持続する時間のことだ。この時間が長いほど、響きが豊かになる。いわゆる浴室で歌うとうまく聞こえる効果を想像してもらえればよい。カラオケでも調子が悪い時は、エコーを強めに掛けるとうまく聞こえる。ピアノを弾く際、ペダルで音を伸ばせば綻びをごまかせる——そういうことだ。
星音堂は大ホール、二百人が収容可能な小ホール、大小六つの練習室。他に資料室等が併設されていた。職員たちはこれらの施設の運営、施設管理、催しの企画開催を担当する。
——「地方公務員になってみたら、配属されたのは流刑地と呼ばれる音楽ホールでした。」より抜粋。
同敷地内には『星野一郎記念館』を有し、そのホールのネーミングも『星野』の『星』をもらって付けられました。
現在は市役所内にある教育委員会文化課が所管しており、職員は市役所職員が担っている状況です。しかし、公共施設の運営は外部の機関に任せるという風潮が広まっており、星音堂もその波にのまれようとしているところに来ております。
営業時間は八時半から二十一時まで。職員の勤務時間は、日勤が八時半から十五時十五分まで。遅番は十二時四十五分から二十一時半まで。遅番は二名体制で担われます。配置されている職員が六名なので(課長は遅番はやりません)、正味三日に一回程度は遅番が回ってくる換算です。
また、休館日は月曜日。土日も業務に就かなければならず、公務員の割に不規則な勤務体制のため、本庁職員から大変嫌がられている部署でもあります。
配属される職員は本庁では不適格と認定されて島流しのように配属されることが多いため、「流刑地」と呼ばれているようですが、実際には人とのコミュニケーションが苦手だったり、外国語が堪能な職員が配属されいてるというのが実情です。
実際、本編主人公の熊谷
星音堂の外観は、
『若葉繁る木々に囲まれて、そこに座する星音堂は、灰色のコンクリート造りだった。大胆にカットされている頭の部分は直線と曲線が交錯し、モダンな雰囲気を醸し出している』——本編より抜粋。
であります。特にシンボル的なのは、中庭。正面玄関を入ってすぐに目に入る中庭には
さらに、星音堂の敷地には林があり外界と隔離された世界を作り出しているところです。(そのために、秋は落ち葉掃除という過酷な業務が職員には課せられますが)
星音堂は住宅街に立地しておりますが、目の前には花屋、喫茶店、中華料理店、薬局があります。交差点のはす向かいには総合病院があり、日中は病院に通院する人たちでにぎわっている場所です。
梅沢市ないにはいくつかのホールが存在しますが、その中でも抜きんでて稼働率の高い良質なホールがこの星音堂になります。星音堂は音楽の街で売り出している梅沢市を支える主要施設であると言えます。
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